ITmedia NEWS > 製品動向 >
STUDIO PRO

「iPhone 15」シリーズ徹底比較 USB-C以外に何が変わった? 前モデルと比べてみた(4/4 ページ)

» 2023年09月13日 14時30分 公開
[山川晶之ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

一番の改善点はプロユーザーの使い勝手?

 今度は中身を見てみよう。チップは「A16 Bionic」から「A17 Pro」に刷新された。Apple初の3nmプロセスで製造された最新チップで、CPUはマイクロアーキテクチャを刷新し、性能コアは10%の向上、省電力コアはワット当たりのパフォーマンスが競合比で3倍に向上している。GPUコアも刷新され、5コアから6コアに増加。パフォーマンスは20%向上し、新たにハードウェアアクセラレーションのレイトレーシングに対応。ソフトウェア処理と比べて4倍高速化している。

CPUのマイクロアーキテクチャを刷新した「A17 Pro」

 A17 Proでは、新たにUSB 3コントローラーも内蔵した。USB-Cで最大10Gbpsを実現したのはこのコントローラーのおかげであり、あくまでも推測だが、無印/PlusがUSB 2仕様のままなのは、A16 Bionicには同様のコントローラーが搭載されていないからでは、という可能性も考えられる。

 カメラ周りは、Proに限って言えば超広角、広角、望遠ともに14 Proとスペック的に変わりはない。ただし、Photonic Engineを改良(4800万画素で処理)することで、画質の劣化を気にすることなくメインカメラの焦点距離を24mm、28mm、35mmの中から選択できるようになった。また、ナイトモードでの色再現性が向上した他、スマートHDRが4から5に、ポートレートモードもよりフォーカスと被写界深度がコントロールできる次世代のものに刷新された。

Photonic Engineを使うことで、画質の劣化を気にすることなく24mm、28mm、35mmからメインカメラの焦点距離を選べるようになった
ナイトモードでは色再現性が向上

 一方、Pro Maxについては望遠ズームが5倍に刷新された。光学系も「テトラプリズムレンズ」を採用。F2.8という明るさをキープしたままコンパクトな光学系で換算120mmを実現すべく、4回光線が屈折する独自のレンズを開発した。いわゆるペリスコープタイプに似ているが少し異なる光学系のようだ。これに組み合わさる1200万画素のセンサーには、3Dセンサーシフト光学式手ブレ補正も搭載されている。また、Proの3倍ズームに搭載されたセンサーよりもピクセル幅が若干大きく(Proが1μm、Pro Maxが1.12μm)、センサーの世代は分からないが高感度性能の面で望遠は若干Pro Maxが有利かもしれない。

Pro Maxの5倍ズームレンズは「テトラプリズムレンズ」

 また、プロユースを意識した静止画/動画機能も搭載。USB-Cが10Gbpsになったことで、レタッチソフト「Capture One」をインストールしたPCとiPhoneをつなぎ、4800万画素のPro RAWを使ってのテザー撮影(スタジオなど撮影したデータをPCにリアルタイムに取り込み仕上がりを確認するスタイル)が可能になった。ProRes撮影は4K60fpsに強化。高速化したUSB-Cポートを使い、SSDなどの外部ストレージに直接ProResを書き出せるようになった他、Logビデオ撮影(ProRes)、アカデミーカラーエンコーディングシステム(ACES)もサポートした。

「Capture One」とiPhoneを接続してテザー撮影も可能に
高速化したUSB-Cを使い、ProResの外部記録も

 この辺の使い勝手は、iPhone 14 Proでは得られないものだろう。AppleもUSB-Cと高速転送でワークフローが大きく改善される点をアピールしており、カメラ性能の面ではさほど変わらないかもしれないが、プロのワークフローにiPhoneをどう組み込むかを検討しやすくなったのかもしれない。そういう意味では「Pro」の名前に恥じない製品になったのだろうか。

 さらに、Vision Proとの連携も従来機にはなかったポイントだ。超広角カメラ、広角カメラをステレオカメラに見立て、視差を利用した「空間ビデオ」を撮影できるという。Apple Vision Proで再生すれば、撮影した動画を立体感を持って視聴することができるとしている。

超広角カメラと広角カメラをステレオカメラにして動画撮影
Apple Vision Proで立体的なビデオとして視聴可能に

 こうしたアップデートが入ったiPhone 15 Pro/Pro Maxだが、価格はこちらも若干上がっている。米国価格は据え置きの999ドルスタートだが、ドル円相場の影響を受けて14 Proから値上げ。Proの128GBは14万9800円から15万9800円、Pro Maxは17万9800円から18万9800円スタート(15 Pro Maxでは128GBモデルが廃止されているので256GBで比較)に引き上げられた。

「iPhone 15 Pro/Pro Max」と「iPhone 14 Pro/Pro Max」の比較
「iPhone 15/Plus/Pro/Pro Max」の比較
前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.