ユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の2023年の受賞者が9月15日に発表された。日本からは、「電気を使って、食べ物の味を変える研究」を発表した、明治大学・宮下芳明教授と東京大学・中村裕美特任准教授が栄養学賞を受賞した。
ITmedia NEWSでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅さんの連載「Innovative Tech」を掲載している。この連載では、新規性の高い科学論文を紹介しているが、その中でも宮下教授の研究成果を取り上げていた。また、同じく機械工学賞を受賞した「死んだクモをUFOキャッチャーとして再利用する研究」も紹介していた。
そこで今回はInnovative Techでかつて紹介した、次のイグ・ノーベル賞候補……かもしれない“ユニークな研究記事”を5つ紹介する。「虫が口を這う感覚再現VR」「下痢判定AI」「ゲップ音を流す袋止めクリップ」など個性豊かな研究ばかり。果たして、この中から2024年のイグ・ノーベル賞は現れるか。
米カーネギーメロン大学などの研究チームが2022年4月に発表したのが「VRで口の中を触られている感覚を再現する研究」だ。VRヘッドマウントディスプレイから、超音波を唇や口膣内に照射。「虫が唇を這う感覚」などを再現できるという。
唇の1点が瞬間的に触られてような感覚だけでなく、上下左右へのスワイプやランダムな動き、連続的な振動なども表現できる。この触覚とVRを連動させることで、よりリアルで没入感の高い体験可能に。
これにより、研究チームは「コップでコーヒーを飲んだ際の口の中に入ってくる液体」「煙草を吸う」「歯ブラシで歯を磨く」「クモの巣を突き破り歩く」「唇の上をランダムに歩く昆虫」などの感覚を再現したという。
(関連記事:VRで口の中を触られている感覚を再現 VRヘッドセットから超音波を放射 「虫が唇を這う」などが再現可能)
米ジョージア工科大学の研究者らが22年10月に発表したのは、排便の音を聞いて下痢かを判定するAIだ。コレラなどの腸に関する病気の早期発見に役立てたるために開発したもの。トイレに設置したセンサーで排便の音を録音し、下痢かどうかを判断するという。
研究チームはこのAIの作成のために、YouTubeやサウンドデータベース「Soundsnap」を利用。標準的な排便や下痢、排尿、鼓腸など350件のトイレに関する音をAI学習に使ったとしている。
テストの結果、人の話し声などを除去した場合は98%、ノイズを残した場合は96%の精度で、下痢かどうかを正しく分類できることが分かったという。
(関連記事:排便の音を聞いて“下痢”かを判定するAI 精度98%で特定 YouTubeなどからトイレの音350件を学習)
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