東京電機大学の研究チームが2021年8月に発表したのは、「滑落中の崖面にナイフを刺して停止するマンガ物理学的MRシステム」だ。人が崖から滑落する際に、助かろうとナイフを壁に突き立てて停止する動作をVRで再現。しばらく引きずられて停止するまでを疑似体験できる。
システムはVRヘッドセットや専用のナイフ型デバイス、崖面デバイスなどで構成。崖面デバイスはベルトコンベヤーを使っており、ナイフ型デバイスを押し当てるとコンベヤーはベルトを上方へ動かす仕組み。VR上では、このコンベヤーの速度と連動した崖面やナイフ、自身の手などを含む映像を提示する。
ナイフの刃が柄の内部に沈むまでコンベヤーに押し当てるベルトの回転速度が遅くなり、VR映像内の崖の移動速度も連動して遅くなる。これによって、視触覚で落下速度が遅くなったことを錯覚させる。その後さらにナイフ型デバイスをさらに押し込むことで、コンベヤーが完全停止し「崖から落ちたけど、壁にナイフを刺して何とか助かったぜ……」を体験できる。
(関連記事:「崖から落ちたけど、壁にナイフを刺して何とか助かったぜ…」を体験できるVR、東京電機大が開発)
中国の北京理工大学の研究チームが22年4月に開発したのが「お菓子を食べ始めると『そしゃく音』と『ゲップ音』を流す、袋止めクリップ」だ。スナック菓子の過剰摂取を防止するために開発したもの。不快な音を流すことで、間食を減らすことを狙っている。
研究チームは、袋止めクリップをつるしたスタンドを作成。スタンドの下には超音波センサーを配置し、スナック菓子の袋がクリップから外されたかどうかを検出可能に。 菓子袋を取ると、デバイスに組み込まれたタイマー起動し、同時にそしゃく音が流れる。50秒経過するとゲップ音が鳴ったり、音量が大きくなったりする。
(関連記事:お菓子を食べ始めると「そしゃく音」と「ゲップ音」を流す、袋止めクリップ 「間食をやめろ」と暗に警告)
神戸大学の研究チームが22年12月に発表したのが「ビデオ会議で、目や口など顔の一部分だけを表示した際にどのような影響があるか?」という研究だ。「顔は表示したくないけど、コミュニケーションの質を低下させたくない……」などの要望に対する解決策として提案した。
研究チームは、ビデオ会議参加者の目や口など顔の一部のみを表示できるシステム「FaceShow」を開発。Webカメラから映像を取り込み、目や口の部位を抽出、その部位を拡大し、その他の顔は透過処理する仕組み。これを使って「口だけ表示」「目だけ表示」「アバター表示」「通常の顔表示」では、Web会議のコミュニケーションに違いがあるのか実験した。
アンケートしたところ、「口だけ表示」「目だけ表示」「アバター表示」は匿名性は高いが、話がやや把握しづらいという結果に。「口だけ表示」は歯並びや唇が拡大表示されるため恥ずかしさを感じる参加者が多かった。一方で、口だけの表示は笑顔が伝わりやすいという利点もあったという。
(関連記事:巨大化した“口”や“目”だけをWeb会議で表示するとどうなる? 神戸大が調査)
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