ITmedia NEWS > AI+ >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

生成AIをどう思うかで観覧ルートが異なる「コトバにならないプロのワザ」展、仕掛け人の意図は? “隠しプロンプト”も(1/4 ページ)

» 2023年09月25日 12時19分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 日本科学未来舘(東京都江東区)では、9月13日から3階の総合案内前スペースで「コトバにならないプロのワザ〜生成AIに再現できる?」を開催している。この展示、来場者の生成AIへの接し方で観覧ルートを選ばせるというユニークな手法を採用していて、それが秀逸なのだ。

会場のゲートには、この展示の概要とAIの現状が解説されている。ゲートの前に立っているのは、今回の展示の企画を担当された日本科学未来舘科学コミュニケーション室科学コミュニケーターの佐久間紘樹さん

 今回の展示は、研究開発の「いま」を見せるシリーズ企画「Mirai can NOW」の第5弾となる企画展示として無料で公開しているもの。入場は無料で、期間は11月13日まで(記事末に開催概要あり)。

パネルの質問にイエス/ノーでルート決定

 展示は大きく2つのテーマに分かれている。1つは、詩人の谷川俊太郎さん、お笑いコンビ「スピードワゴン」の小沢一敬さん、子育て経験を基にした著書のある大場美鈴さんという3人の言葉のプロたちが、詩や漫才、子どもにかける言葉を生成AI(ここではChat GPTを使用)に再現してもらい、その過程で自分たちはどういう形でそれらを作り上げているのか、その暗黙知の部分を改めて考えてみるという動画の公開。もう1つは、生成AIが社会にどういうインパクトを与え、その普及によって「人間の知能、知性、創造性とは何か」が改めて問われている現状を、分かりやすくパネルにまとめたものだ。

 面白いのは、この2つがそれぞれ3枚ずつのパネルにまとめられ、観覧者は入り口すぐにあるパネルの質問にイエス/ノーで答える仕掛けが用意されていること。ここで、観覧者はプロの技とAIについての動画から見るか、パネル展示から見るかを指示されることになる。これが、良くできていて、その意図は展示を見終わると分かる仕掛けになっているのだ。

 解説してくれたのは、今回の展示の企画を担当した日本科学未来舘科学コミュニケーション室科学コミュニケーターの佐久間紘樹さん。「まず、会場に入る前のゲートの左右の柱に、今回の展示の概要と目的についての説明が書かれています。左の柱には古典的なAIから生成AIへの技術の進歩について、右の柱にはAIを何に使うかを分類した図が用意されていて、『生成AIにコトバのプロの技を再現させる試み』の意義や目的を、AIをよく知らない方にも理解してもらおうと考えました」。

ゲートをくぐったら、まず、このパネルでAIに対して抱いている気持ちを判定。見て回る方向を決める

 AI利用に関して、答が比較的明確にある作業と、答が曖昧(あいまい)で最適解が変わるような作業の違いを入り口で理解してもらった上で、観覧者は、イエス/ノーのパネルの前に立つことになる。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.