総務省は10月3日、「プラチナバンド」ともいわれる700MHz帯を使った基地局開設の認定について、申請は楽天モバイル1社だったと発表した。総務省は申請について審査したのち、10月23日にも電波監理審議会に諮問を実施。問題がなければ、楽天モバイルのプラチナバンド獲得が濃厚となる。
プラチナバンドとは1GHz未満の周波数帯域のことを指し、建物の奥まで電波が届きやすいなどの特徴を持つ。特に都市部などのエリアだとつながりやすさに直結する帯域でもあることから、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは複数のプラチナバンドを運用している。一方で、楽天モバイルは現在プラチナバンドを保有しておらず、エリア対策において同帯域の獲得は必須となっている。
もし認定されれば、楽天モバイルは700MHz帯(3MHz×2)として、上り715〜718MHz、下り770〜773MHzの帯域が利用できるようになる。楽天モバイル親会社の楽天グループは、2023年度第2四半期決算において、プラチナバンドが獲得できれば早くて2023年12月から電波を発射できると明かしている。
もともとは各キャリアが保有するプラチナバンドを楽天モバイルに再割り当てする方向で議論が進んでいたが、“虎の子”ともいえるプラチナバンドを一部手放すことになるうえ、3社合計で3000億円近くともいわれる再割り当て関連コストも負担する必要があり、ドコモ、KDDI、ソフトバンクは反発していた。
その後、NTTドコモの提言により特定ラジオマイクや高度道路交通システム(ITS)で使われている、700MHz帯周辺にある3MHz幅×2の空きを新規で割り当てられないか検討を開始。フィルターの挿入など各種対策を施すことで共用が可能であると判明したことから、同帯域幅を割り当てる方針となった。
総務省では今回の開設指針案で、絶対審査基準に加え、複数からの申請があった場合を想定した比較審査基準を設けているが、「公平性・競争促進」のなかに「いわゆるプラチナバンドの割当てを受けていないこと」などの項目があり、楽天モバイルに有利な条件となっていた。
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