こうしたトレーニング教材だけでなく、実際に多くのユーザーがビジネスで利用しているアプリケーションもQuestにやってくる。米Microsoftは「Microsoft 365」のQuest版を2023年末までに提供すると発表した他、クラウドベースの「Windows 365」、Metaのオフィス向けVRソリューション「Meta Horizon Workrooms」のZoom/Microsoft Teams対応も発表されており、仕事ツールとしてのQuestを強力に後押しする。
また、ビジネス活用では欠かせないデバイス管理ソリューションとして「Meta Quest for Business」を23年10月末にリリース予定。全社規模でのQuest導入、管理、セキュリティーなどをサポートするサブスクリプションサービスとして提供する。企業導入の要になるソリューションで、アイデンティティ/アクセス管理や、仕事のディレクトリシステムに応じた管理、MicrosoftやAdobeなどサードパーティーのデバイスマネジメントツールからの管理も可能だ。
コリンズ氏は、Meta Quest for Businessのオープンβ版の提供で得られたフィードバックから3つの教訓を得たという。「まず1つ、BusinessではQuestデバイスを安全に、かつスケール感を持って導入したいこと。2つ目にITの管理者はコントロールを持ちつつ、エンドユーザーの体験をもう少し柔軟に確保したいこと。3つ目はBusinessには共有デバイスモデルが必要なこと」だったという。こうした意見をもとに改善したことで「フィードバックに全て答えたのではないかという自負がある」と同氏は自信を見せる。
エンタープライズ級のサポートも提供。カスタマーが直接Metaに対してサポートを受けられる環境を整える。デバイスのシェアードモードもあり、企業の横断的トレーニングにも利用できるようMetaアカウントを持っていない社員でも同じデバイスが使えるようになる。
MetaはコンシューマーSNSの企業と思われがちだが、企業向けのビジネスコミュニケーションプラットフォームも展開している。それが「Workplace from Meta」だ。1000万以上のユーザーがWorkplaceを利用しており、米国では米Walmartや米McDonald's、日本ではリクシルなどが導入している。
そのWorkplaceにもMRを取り入れることで、仕事のコミュニティ構築などに活用できるとしている。Workplaceにはライブ配信機能があり、MRで出席者とのコミュニケーションなども可能な没入型イベントが作りやすくなっている。コリンズ氏は「バーチャルの会議室をリアルの会議室とつなげることができ、デスクトップ、モバイルユーザーもどこにいてもつながることができる」と語る。
そしてVR/MR分野への巨額投資を続けているMetaが、もう一つ力を入れている分野がAIだ。先日開催された「Meta Connect 2023」も、先行発表していたQuest 3のパートを短時間で終わらせ、同社のチャットAI「Meta AI」に時間を割いた。生成AIにより、MRコンテンツの制作スピードが向上する他、Workplaceでの知識管理(ナレッジマネジメント)などもやりやすくなるという。
生成AIの力をビジネスに活用する流れはMicrosoftなどが先行しているが、Metaもコミュニケーション軸でのビジネス活用に力を入れる。これにMRが持つリアルとバーチャルを融合させたコンピューティング環境、Microsoft 365といったビジネスツールを提供する強力なパートナーも取り込み、Metaならではの方法で企業のエンパワーメントを引き出そうとしている。
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