KPMGでは、表計算ツールやBIツールを使った分析手法の他に、AIモデルを使った分析ツール「AutoML」を使った分析手法も推奨している。AutoMLとは、ノーコーディングかつ短期間でAIモデルを開発する手法やツールのこと。同社いわく「AutoMLを活用することで、専門知識やスキルがなくてもAIを開発でき、予測や分類業務を自動化可能」という。
「AutoMLツールは名前の通り、データを放り込むだけで自動で機械学習モデルを作成してくれる。そのため、人が膨大な時間をかけて行っていたタスクを代替できる。売り上げの予測をしたいなど、目的がはっきりしているなら、表計算ツールのような関数の知識もいらず、かつBIツールよりも目当ての結果を得やすいと思う」(森本さん)
AutoMLを使う際の注意点として、佐藤さんは「結果をきれいに仕立てて出してくれるが、その過程は省いて結果を伝えてしまうため、“結果の理由”を社内で報告するのに苦労する場合がある。AIが導き出すのは、さまざまな要因が複合的に絡まった結果なので、それを理解しておく必要がある」と話した。
ここまで各ツールの機能面を比較してきたが、各ツールの拡張性はどの程度あるものなのか。昨今では生成AIに注目が集まり、BIツールの中でもAI機能を搭載したものも登場している。また、APIを通じて生成AIと連携して、Excelなどでも機能拡張を図ることができる。
このような背景もあり「実際、各ツール間の機能ギャップは狭くなってきている。そのため、拡張機能によってはBIツールでもAutoMLのような使い方ができる場合もある」とし「だからこそ、各ツールをどの程度使いこなせるかの“熟練度”が求められる一面もある」と森本さん。
「拡張機能を導入する際は、主軸として何をしたいのかを考えて展開していくのがいいと思う。例えば、表計算ツールに拡張機能をどんどん足して作り込んでいった結果、何をしたかったのか見失ってしまうケースもある。表計算のコンセプトからはみ出たところでまで手を伸ばさず、ツールを適用できる適切な範囲を見極めるが大事」(佐藤さん)
また、生成AIの機能を足す場合、それぞれのツールとの相性も配慮すべきと説明。生成AIを使ってデータ分析を行いたいのなら、“表計算”ツールはその目的からは一歩離れたところにあるのではないか、と考えることもできる。まだどのツールとの親和性が良いか何か言い切ることはできないが、各ツールの本質やそのUI/UXを検討するべきという。
「どのツールにもいえることだが、考えることが一番大事。データを見て“この数字を使ってどんなアクションしたいのか”をどう考えるかで、適切な分析の仕方というのは変わってくる。その上でツールを選ぶ判断力が重要なのではないか」(森本さん)
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