ITmedia NEWS > 社会とIT >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

データ活用で導入するべきツールは? 表計算 vs. BI vs. AutoMLの特徴比較(2/2 ページ)

» 2023年11月20日 12時00分 公開
[松浦立樹ITmedia]
前のページへ 1|2       

KPMGが勧めるAIツール“AutoML”

 KPMGでは、表計算ツールやBIツールを使った分析手法の他に、AIモデルを使った分析ツール「AutoML」を使った分析手法も推奨している。AutoMLとは、ノーコーディングかつ短期間でAIモデルを開発する手法やツールのこと。同社いわく「AutoMLを活用することで、専門知識やスキルがなくてもAIを開発でき、予測や分類業務を自動化可能」という。

AutoMLの特徴(資料提供:KPMGコンサルティング)

 「AutoMLツールは名前の通り、データを放り込むだけで自動で機械学習モデルを作成してくれる。そのため、人が膨大な時間をかけて行っていたタスクを代替できる。売り上げの予測をしたいなど、目的がはっきりしているなら、表計算ツールのような関数の知識もいらず、かつBIツールよりも目当ての結果を得やすいと思う」(森本さん)

開発型AIとAutoMLの比較(資料提供:KPMGコンサルティング)

 AutoMLを使う際の注意点として、佐藤さんは「結果をきれいに仕立てて出してくれるが、その過程は省いて結果を伝えてしまうため、“結果の理由”を社内で報告するのに苦労する場合がある。AIが導き出すのは、さまざまな要因が複合的に絡まった結果なので、それを理解しておく必要がある」と話した。

AutoMLの活用領域(資料提供:KPMGコンサルティング)

機能拡張でツール間の機能ギャップは縮小傾向に

 ここまで各ツールの機能面を比較してきたが、各ツールの拡張性はどの程度あるものなのか。昨今では生成AIに注目が集まり、BIツールの中でもAI機能を搭載したものも登場している。また、APIを通じて生成AIと連携して、Excelなどでも機能拡張を図ることができる。

表計算ツールとBIツール、AutoMLツールの特徴比較(資料提供:KPMGコンサルティング)

 このような背景もあり「実際、各ツール間の機能ギャップは狭くなってきている。そのため、拡張機能によってはBIツールでもAutoMLのような使い方ができる場合もある」とし「だからこそ、各ツールをどの程度使いこなせるかの“熟練度”が求められる一面もある」と森本さん。

 「拡張機能を導入する際は、主軸として何をしたいのかを考えて展開していくのがいいと思う。例えば、表計算ツールに拡張機能をどんどん足して作り込んでいった結果、何をしたかったのか見失ってしまうケースもある。表計算のコンセプトからはみ出たところでまで手を伸ばさず、ツールを適用できる適切な範囲を見極めるが大事」(佐藤さん)

 また、生成AIの機能を足す場合、それぞれのツールとの相性も配慮すべきと説明。生成AIを使ってデータ分析を行いたいのなら、“表計算”ツールはその目的からは一歩離れたところにあるのではないか、と考えることもできる。まだどのツールとの親和性が良いか何か言い切ることはできないが、各ツールの本質やそのUI/UXを検討するべきという。

 「どのツールにもいえることだが、考えることが一番大事。データを見て“この数字を使ってどんなアクションしたいのか”をどう考えるかで、適切な分析の仕方というのは変わってくる。その上でツールを選ぶ判断力が重要なのではないか」(森本さん)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.