ITmedia NEWS > 製品動向 >

気になるテスラの「電気代」「整備費」 丸2年乗ったモデル3オーナーの、ランニングコストの総額は?走るガジェット「Tesla」に乗ってます(3/4 ページ)

» 2023年12月24日 13時30分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

民間の整備工場で、テスラを法定点検に出してみた

 前述の通り、納車から2回目の法定定期点検は、一般の整備工場で受けることにしました。幸い自宅から15分程度の「サンオータス環境車検新横浜店」がTeslaの定期点検を打ち出していることを知りました。

 一般の整備工場による点検の様子をレポートすることで、近くに正規サービス拠点がないTeslaユーザーの一助となればと考え、今回、同店を利用しました。そもそも、お財布に優しいですし。

 点検そのものは、約1時間で終了し点検終了後、おなじみの紙の記録簿を渡されました。Teslaではこのような記録はデジタルで管理され、専用アプリからPDFで確認できるのですが、今回のように、チェック印の付いた紙で渡されると、どこか安心感があります。昭和な感覚です。

法定定期点検でおなじみの記録簿。当然ながら、エンジンオイルやマフラーなどの点検は不要。ブレーキパッドもほとんど減っていない

民間の整備工場が「テスラの法定点検」を始めた理由

 そもそも、サンオータス環境車検新横浜店ではなぜTeslaの点検を行うようになったのでしょうか。カーエンジニアリング部カーメンテナンス課課長の山本駿一氏は次の様に答えてくれました。

 「Teslaのボディーコーティングを実施したお客様より“車検やその他点検、修理はできないのか"との問い合わせを頂いていました。他社製EVの点検は実施していましたがTeslaは経験がなかったのでお断りしてました。しかし、Teslaオーナーが集まるイベントに参加したことをきっかけに、Teslaの整備について調べることにしました」

フロントから見たModel 3の底面。バッテリーが底一面を覆っているので真っ平ら。作業をしているのは、サンオータスの山本氏

 「Teslaのスタッフに話を聞いたり、国土交通省などに問い合わせ、民間整備工場でも作業が可能かどうかを調べた結果、点検と車検の取り扱いが可能だと判断し、2022年春よりTeslaの点検整備を始めました」

 ただ、われわれユーザーからするとTeslaは、いろいろな意味で特殊なクルマという認識です。正規サービスセンターではない整備工場でどこまで対応が可能なのでしょうか。

 「当店では、車検、12カ月点検などの基本的な法定点検は実施可能です。これまでに車検1台、法定点検5台のご依頼を頂いています。しかし、部品を仕入れることができないので、修理が必要になった際は当店では対応できません。エアコンのフィルターやワイパーなどの消耗品も取り寄せることはできませんが、お客様でご用意いただければ、取付など対応させていただきます」

前の底面カバーを外すとフロントのモーターを見ることができる。オレンジ色のケーブルは高電圧用のケーブル

 そして、Teslaに対応した専用のコンピュータソフトウェアがないので、システム診断なども不可能だといいます。

 一般ユーザーの感覚では、整備時にシステム診断をしなくて大丈夫なのかと心配になります。ただ、Teslaの場合、通常使用時において、トラブルが発生する前に、それを予兆するアラートがスクリーンに表示されます。

 筆者はそのような経験がないので、具体的な例を示すことができないのですが、TeslaユーザーのSNSを見ていると、各種アラートの投稿写真をたまに見かけます。

 Teslaの場合、ネットワークで車両とTesla側のサーバがつながっているので、アラートが出た時点で正規サービスに連絡すれば、遠隔診断してくれます。その上で遠方であっても、前述のように出張対応してくれるモバイルサービスもありますし、トラブルの内容によっては、認定工場や正規サービスセンターへの入庫を進言されると思います。

 Tesla Japanは、徐々にではありますが、地方にもサービス拠点を増やしています。定期点検や車検は一般の整備工場で対応してもらい、有事の際は正規サービスセンターやモバイルサービスで対応するといった、運用スタイルも可能だと思います。

 2年が経過したことで、多くの人が気にするバッテリーの劣化に触れておきます。新車時と比較して、推定航続距離ベースで見ると95.93%まで劣化しています。最長、500km走れていたものが、約480kmに減ったイメージです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.