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震災で意識高まる「家庭内蓄電」 太陽光の“卒FIT”にポータブルバッテリーメーカーが注目する理由小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2024年01月18日 08時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

 1月1日に発生した能登半島地震により、全国的に防災意識が高まっている。特に太平洋側は、次は南海トラフだということで、じわじわと警戒感が強まっているように思う。

 地震や津波による倒壊を免れた地域でも、ライフラインの崩壊は深刻だ。水やプロパンガスは運べても、大量の電気は運べないという問題がある。だからEVだHEVだ、という文脈も理解できるところだ。

 一方で、太陽光発電設備の設置を義務付ける自治体が出てきた。京都府と群馬県では延べ床面積2000平米以上が対象なので、主に工場や事業所などになるだろう。東京都と神奈川県川崎市は、一般新築住宅にも設置を求めている点で根本的に異なる。

 東日本大震災直後には電力不安があったことや、原発に変わる再エネ導入ブームに乗って、ソーラーパネルを屋根に設置した家庭も多かった。当時はFIT(固定買い取り制度)により、太陽光発電の買取価格が優遇されていたことから、発電した電力はそのまま系統電力へ売電する格好だった。

 しかし買い取り価格は、年々下落ししている。制度開始時の2012年には10kW以上の売電価格が40円+税であったが、2022年には1kWあたり11円と、およそ1/4になっている。一方、電力会社から買う電力単価は10kW以上でおおむね20円程度/kWであり、もはや家庭内発電は、多少電気代の足しになる程度で利益は出ない。これなら売電はやめて、自家消費したほうが全然マシである。

 ただ、これまでの売電スタイルの電力システムは、ソーラーパネルから出力されるDCをACへ変換するパワーコンディショナーへ接続し、系統電力へ戻しているだけなので、蓄電池がない。パワーコンディショナーから直接電力を取りだしても、所詮は発電している日中しか使えない。昼間留守がちな家では、電気を使うチャンスがない。

 そこで各バッテリーメーカーが注目しているのが、売電システムを自家消費システムへ転換する、「卒FIT」である。

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