有明病院(東京都江東区)とZOZOは、3D計測用ボディスーツ「ZOZOSUIT」と、専用に開発したスマートフォンアプリを使い、がん術後の二次性リンパ浮腫患者の手足の周囲を測定する検証を行ったと1月25日に発表した。
簡単かつ高精度に測定でき、リンパ浮腫の評価システム実現につながる可能性があることが分かったとしている。
リンパ浮腫は、リンパ液の流れが滞り、四肢に浮腫(むくみ)が生じる病状。日本では乳がんや婦人科がん術後のリンパ浮腫が増えているが、有効な根治療法がないため進行を防ぐために早期発見、早期介入が重要だ。ただリンパ浮腫を診察できる施設は患者数の割に少なく、介入が行き届いていないという問題があるという。
今回、リンパ浮腫専用のスマートフォンアプリを開発。被験者はZOZOSUITを装着した状態で、1.5m先に置いたスマートフォンのアプリの指示に従い、30度ずつ向きを変えて12枚の写真を撮影すると、アプリ内で自動的に体表の3Dモデルが生成される。
このモデルから、リンパ浮腫診療で重要な測定点を取得し、周径測定値を抽出し、反復して測定した際の精度や、従来の手計測と比べた誤差を測定した。反復測定では、全測定点の平均誤差が10mm未満、従来の測定方法との平均絶対誤差はおおむね20mm未満に収まったという。また、システムによる測定時間は、手計測により有意に短かったという。
同技術を応用することで将来は、検査者なしで自宅で繰り返しリンパ浮腫の治療効果を判定したり、早期発見、早期介入を可能にする診断ツールの開発につながると期待している。また、同システムを使った精度の高いデータを蓄積することで、未解決課題の多いリンパ浮腫治療におけるエビデンスの構築につながる可能性もあるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR