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アリババからAIへ、シフト鮮明に 四半期ベース黒字転換を果たしたソフトバンクG

» 2024年02月09日 12時21分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ソフトバンクグループは第3四半期(2023年10-12月期)に純利益9500億円と黒字転換を果たした。通期(4〜12月)ではいまだ4587億円の赤字だが、8日の会見に登壇した後藤芳光CFOは「久しぶりの四半期ベースの黒字。ほっとしている」と安堵の表情をみせた。

ソフトバンクグループの後藤芳光CFO
第3四半期(10-12月)は黒字に

 黒字をけん引したのは、過去4四半期にわたって赤字続きだった投資損益の大幅な改善だ。後藤CFOは、主要な投資先の1つであるARMの好決算をはじめ、T-Mobileとスプリントの合併に伴う1兆1000億円相当のT-Mobile株式無償取得(条件付き対価の条件が満たされた)といった第3四半期のトピックを紹介した。

 一時は大きくマイナスにふれた「ビジョン・ファンド」(SVF)についても、「累積投資損益は改善が続き、もうすぐ黒字になる」と状況を報告。SVF2はまだ190億米ドルのマイナスだが、SVF1は167億米ドルのプラスで、全体としては復調傾向にある。「(ステークホルダーに対する)一番のメッセージはパフォーマンスだが、それはまだ。長い目でみてほしい」。

SVF1とSVF2の損益
SVF全体の累計投資損益

アリババ株は「実質ゼロ」

 一方、同社がここ数年で大きく保有株数を減らしたのがアリババを筆頭とする中国株式だという。19年末時点では同社の保有資産の50%を占めていたアリババ株だったが、23年末時点ではわずか0.02%と「実質的にゼロ」(後藤CFO)。中国株全体も同期間に54%から8%まで減っている。

 対照的に、32%まで増えたのが前述のARM株だった。後藤CFOによると、これは「中国集中リスクの緩和と同時に、ARMを中核とするAI分野へのシフトを意味する」という。

 「ARMの業績は非常に順調だ。チップの累計出荷数は23年9月までで2800億個を超え、ルネサス エレクトロニクスやMedia Tek、Microsoftといった業界のリーダー的企業との戦略的提携も進展している。AI産業の発展とともに成長してくれると大いに期待している」。

保有資産構成の変化。オレンジがアリババ、ブルーがアーム
保有資産の地域構成の変化

 なお質疑応答では、会見に姿を見せなくなった孫正義社長(代表取締役 会長兼社長)の様子をたずねる質問も出てきた。後藤CFOによると「心配されるまでもなく、毎日とんでもなく忙しく過ごしている。会社には来ている」という。

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