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エストニア軍のネットワークエンジニア→日本のIT企業に とある外国人エンジニアに聞く“お国柄の違い”外国人エンジニアに聞く「あなたは何しに日本へ」(1/2 ページ)

» 2024年03月18日 15時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 令和は多様性の時代。IT業界でもさまざまな人が働いている。海外から来たITエンジニアなどもその一例だ。とはいえ、いざ外国人エンジニアと一緒に働くとなると、コミュニケーションが難しいと感じる人もいるかもしれない。

 そこで本連載では、実際に日本で働くITエンジニアの人たちにインタビュー。日本に来た理由や、日本で働くことの印象などを聞いていく。第4回となる今回は、IT先進国として知られるエストニアの軍隊でネットワークエンジニアとして働いた経験を持ち、現在はメタップスホールディングスで働くマルコ・ポップさんに話を聞いた。

photo マルコ・ポップさん

あなたはどうして日本に?

 ──自己紹介をお願いします。

マルコさん(以下敬称略) マルコ・ポップです。2019年ごろに来日し、メタップスに就職してから、ずっと同じ会社でシステムエンジニアをしています。年齢は36歳です。

 主にフリーランスと企業をマッチングする「re:shine」(リシャイン)というサービスの開発に携わっている他、最近ではITインフラの監視サービス「srest」(スレスト)にも関与しています。現在は横浜に住んでいて、出社が好きなので週に3〜4回は会社に来て働いています。できれば毎日出社したいですね。

 ──日本で働くことになった経緯を教えてください。

マルコ 妻が日本人で、日本に住む経験も必要と感じたためです。もともと大学でプログラミングやネットワークを学んでいたのですが、エストニアには8カ月もしくは11カ月の兵役があり、20代のころ約1年ほど軍にいました。

 しかしそこでも『経験があるのだから』とネットワークエンジニアの仕事をしていました。その後は保険会社などファイナンス系のソフトウェア開発やデータ分析などさまざまな仕事をしながら会社を転々としていたのですが、妻の影響もあって『日本の文化に触れる経験が欲しいな』と思い始め、日本に引っ越しました。働き先としてメタップスを選んだのは、エストニアにいた日本人の知人の紹介です。

 ──軍ではどのようなお仕事を?

マルコ 最初の3カ月は歩兵の訓練をし、それ以降はネットワークエンジニアとして働きました。仕事自体は、A地点からB地点までの通信システムやネットワークを管理するような感じで、普通のネットワークエンジニアと同じです。作業場所はオフィスではなく、森やトラックの中でしたが。

 ──マルコさんと同様に、軍でネットワークエンジニアやシステムエンジニアで働く人は多かったのでしょうか。

マルコ 私のときは100人中2人くらいだったのでレアでした。ただ、もう15年くらい前の話なので、今は違うと思います。

 ──エストニアは電子政府の推進や電子投票の採用など、IT先進国として知られています。マルコさんと同じIT関連職の方が多いのでしょうか。

マルコ 日本と比べたらITやソフトウェア開発が進んでいるイメージがありますね。知り合いもITエンジニアとして働いている人が多いですし、そうでなくとも実はエンジニアリングの経験がある人も多いです。

 ──IT関連の教育やサポートなど、IT産業を支える素地があるのでしょうか。

マルコ エストニアはもともと旧ソ連の国で、(ソビエト崩壊に伴い)ゼロから発展してきた歴史があります。なので、逆にしがらみがなく、テクノロジーについては最善の形で進めやすかったのではないかと思います。

 小さい国なので、フットワークが軽い点も影響しているかもしれません。学校でも、数学が得意な人が多い印象でしたね。人気の科目ではありませんでしたが。最近では、給料が高くて、他業種と比べて労働環境も良いという理由でIT関連職が人気ですね。

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