「アナログ写真が好きな人も、スマホで撮る人も、色々な感性で撮っているなと思ったんです。それで、どのような写真が撮られているのか、またどのような写真撮影アプリが使われているのかなどを改めて調べました。気がついたのは、我々が持っている写真という概念とは、もう全然違ってきているということでした。この世の中、様々なエフェクトがあり、それぞれに多種多様な表現をしている。特に若い子だとエフェクトを積極的に使っていて、写真+エフェクトというのはもう普通のことなんだなと実感しました」と高井さん。
そう思いつくと、表現に従来の常識を元にした壁を設ける意味はないという考えになったという。そこで、自分たちが考える「失敗した写真」は本当に失敗なのか? というところから開発が始まり、その中で「光漏れ」は案外面白いのではないかという話が出てきた。
浅草の遠景をビネットモードだけオンにして撮った写真(上)と、「カラーエフェクトコントロール」を「LL(ライトリーク)」に設定した写真(下)。光漏れの効果が分かりやすい写真だが、従来なら、06bは失敗作扱いになっていたと思う。これを良しとするかどうかは撮影者次第なのだ「とはいえ、『光漏れ』を富士フイルムが機能に取り入れていいのか? という問題もあるかなと思ったら、案に相違して、これが社内でも大受けしたんですよ。スマホの中では、そういうエフェクトは当たり前にあるんだけど、そうではなくて、実際に撮影した写真そのものにプラスアルファする表現というところで、光漏れがとても良かったんですね。デジタルのエフェクトではなく、本物の光を使った『表現』はありだなとなりました」と高井さん。
つまり、「mini 99」で搭載された、カメラ内で色の付いた光を発光させる機能の「カラーエフェクトコントロール」は、写真に色を付ける機能ではなく、光漏れを意図的に起こす機能だったわけだ。
ただ問題は、それをアナログインスタントカメラでどうやれば実現できるかという点。もちろん、昔からあるカラーフィルターのように、レンズの前に色が付いたフィルターを付けるという手もあるけれど、それでは光漏れは起こせないし、均一に色が付いてしまって、あまり面白みはない。そこで技術部に相談したという。
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