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技術者「本当にやるの?」──わざと光を被らせるエフェクトを搭載した大胆なインスタントカメラ、富士フイルム「INSTAX mini 99」開発秘話分かりにくいけれど面白いモノたち(2/6 ページ)

» 2024年04月29日 08時14分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 もちろん、INSTAXというブランドのイメージを統一する意味でも、アナログインスタントカメラである「mini 99」と、ハイブリッドインスタントカメラである「mini Evo」で、あまり写りに差がないようには作られている。一方ではフィルムに直接感光させ、もう一方ではデジタルデータに変換してプリントしているわけで、当然だが、画質自体は違う。

こちらは、「mini Evo」の光漏れエフェクトで撮影され、チェキフィルムに出力した画像。この画面で分かるかどうかはともかく、次の「mini 99」で撮ったものと見比べてほしい
こちらは「mini 99」での「カラーエフェクトコントロール」を使って撮影したもの。チェキフィルムを専用アプリ「INSTAX UP!」でスキャンして取り込んでいるので、若干、アナログ感は薄れてはいるが、「mini Evo」で撮ったものとの光漏れの雰囲気の違いを見てほしい

 どちらが良い悪いではなく、階調表現に富んでグラデーションが美しいアナログ写真と、全体的にシャープな印象になるデジタル写真では、絵の方向自体が違うのだ。なので、「mini90」の後継機としては、当然、アナログ写真ならではの面白さを考えることになる。

特に何をするでもなく、発光禁止に設定した「mini 99」で撮ったスナップ。チェキプリントをスキャン(専用アプリ「INSTAX UP!」使用)して取り込んだ分、階調が潰れているところもあるが、拡大して見ても画像は荒れない十分な解像感がある

 余談だが、一部で言われている「チェキは解像度が低い」「チェキは画質が悪い」というのは、デジタル写真に慣れた目で見た誤解でしかない。それこそ感光面のサイズだけ取っても、35mmフィルム相当のサイズしかない「フルサイズ一眼」のデジカメより、チェキフィルムの感光面の方が遥かに大きいのだ。

 ついでに言えば、解像度という概念そのものがフィルムには無い。ドットでデータが形成されているデジカメならではの概念だからだ。実際、チェキの写真は、ほぼシャッターを押すだけでオッケーの「INSTAX mini 12」で撮ったものも、適性露出で手ブレなく撮れていれば、とても美しい。

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