インタビューは、Tesla自慢の高度運転支援であるFSD (Supervised) の話に移ります。以前は、FSDベータVer.12と呼ばれていましたが、4月以降、ベータプログラムの終了と共に、名称がFSD (Supervised)に変わりました。「Supervised」は「(ドライバーの)監視付き」といった意味です。
これは、ナビを設定すると目的地まで、ほぼ自動運転を可能とする機能です。米国ではすでに一般ユーザー向けにソフトウェアの配信が始まっており、2019年以降の対応する車載コンピューターを搭載したすべてのユーザーに対し1カ月間の無料お試しサービスが実施されています。また、月額99ドルのサブスクリプションも始まりました。
5年前に納車されたクルマに対し、無線アップデートによる無料お試しサービスや月額約1万5000円でのサブスクが可能なのもTeslaの強みです。他の自動車メーカーの場合だと、サービス拠点に出向いて、LIDAR(ライダー)などの高価なハードウェアを新たに取り付けて、といったプロセスが必要なので、このようなサービスは不可能でしょう。
実際、SNSでは米国のTeslaユーザーが投稿したFSD (Supervised)動画を見ることができます。それらの投稿において、多くのユーザーが「まるで人間が運転しているかのようだ」といったコメントを加えています。一般ユーザーの車両からのカメラ映像による大規模学習のたまものと言っていいでしょう。
日本でも早々にFSD (Supervised)を展開して欲しいものです。ただ、安川氏は次のように付け加えます。
「FSD (Supervised)は、自動運転の実現に向けて、Teslaが一歩も二歩も抜きん出た素晴らしい技術です。ただ、細い路地や小さな交差点がたくさんある日本の道路事情を考えると、米国のようにはいかないと思います。日本の道路固有の事情もあるので、それを学習してデータを蓄積する必要があります」
昨年、Teslaジャパンは「テストドライバー」という職種で人材を募集していました。それがFSD (Supervised)に関係するものかどうかはわかりませんが、当然ながら日本においても、何らかの検証活動は実施されているものと想像します。
主務官庁の許認可問題も絡むので簡単な話ではないと思いますが、Teslaジャパンには大いに頑張って頂きたいものです。
Model Sで日本市場に本格参入してから10年余のTeslaですが、近年は、ストア、サービス拠点、スーパーチャージャーの増強を確実に進めています。SDV(ソフトウェアデファインドビークル)として、自動車に新しい価値をもたらすTeslaの日本でのさらなる普及を願ってやみません。筆者も微力ながら本連載でTeslaの魅力を伝えていきたいと考えています。
著者プロフィール
音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla
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