米国で2012年に発売された高級セダン「Model S」の日本導入は2014年9月でした。
初期型Model Sは、ラジエターグリルのようなデザインが施されていた。デザインは、北米マツダから移籍したフランツ・フォン・ホルツハウゼン氏が担当(写真提供:UnsplashのCali Naughton)「イーロン・マスク氏が来日しホテルで納車イベントが盛大に開催され、三十数人の初代ユーザーが招待されました。一部のユーザーは、大きなキーのオブジェと共に、壇上でイーロンと記念撮影していました。価格は1000〜1400万円程度で、予約金は全部入りのシグネチャー仕様で350万円、通常仕様で50万円でした」
最初に輸入されたModel Sのロットには、オートパイロット(AP)が搭載されておらず、注文後、納車を待っている間に、APの発表があったそうです。最初の納車分を購入した初代ユーザーは悔しい思いをしたと想像できますが、安川氏は次の様に回顧します。
「当時は、APの能力がどんなものかわからず、クルーズコントロールなどの既存の運転支援機能と同等のものだと思ってました。その後、APの優れた能力を知るとこになりましたが、私を含め大きなクレーム問題に発展はしませんでした」
その代わりというわけではないでしょうが、初代ユーザーはTeslaジャパンからその後も厚遇を受けたそうです。トヨタが初代プリウスのユーザーに対し、駆動バッテリーを保証期間・距離を過ぎても無料で交換していたのは有名な話です。
余談ですが、2001年の登場当時、量販店で60万円程度だった30インチの液晶テレビ「アクオス」を10年程度使用していた筆者ですが、その間、高価な液晶パネル3回、メイン基板を2回交換しています。正式な保証期間は1年ですが、すべて無料で対応してくれました。
メーカーは、イノベーティブな製品の初期ユーザーを大切にするのかもしれません。
当初、Model Sは日本に数十台しか走っていないわけですから、国内における普段使い等、身近な情報は多くありません。そこで安川氏は、今のTOCJの前身となるメーリングリストをクローズドで起ち上げました。
「最初は4名のメンバーで始めました。クローズドにしたのは、当時からTeslaに批判的な人がいたので、攻撃を避けるためです。現在でも、TOCJに入会するためには、個人情報の他にVIN番号の登録が必要です」
本連載にも様々なコメントを頂戴しますが、中にはアンチTeslaらしき人からと思われる、情け容赦のないコメントもあります。日本に導入されて間もない頃からアンチな人達がいるのは驚きです。逆の見方をするとTeslaは、今も昔も気になる存在であるということでしょう。
TOCJは、Facebookにもプライベートグループを設定しています。メンバーは承認制であり、やはりVIN番号等でTeslaユーザーであることの証明が必要です。
このようなクローズド運営はTOCJに限らず、フェラーリやランボルギーニのようなエキゾチックカーのオーナーズクラブも同様です。VIN番号はもとより、既存会員の紹介、年会費や入会費を必要とするなど、一定のハードルを設けています。
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