箱型に変形し、有事の際はバッテリーとしても使える電動バイク──心の中の少年をくすぐられる、こんな乗り物をご存じだろうか。名前は「TATAMEL BIKE」。スタートアップのICOMA(東京都大田区)が手掛ける製品だ。
すでにオーダーメイド販売で30台ほどを販売しており、5月15日には新たに受注販売を開始。将来的に量産する意欲もあるという。同社はTATAMEL BIKEを誰に、どのように提供していくのか。15日から16日にかけて、東京ビッグサイトで開催されたスタートアップ展示会「SusHi Tech Tokyo 2024 Global Startup Program」で、ICOMAの生駒崇光代表に話を聞いた。
TATAMEL BIKEは名前の通り、手動で折りたたんで運搬できる電動バイクだ。原動機付自転車として公道を走行可能で、3時間の充電で約30km走れるという。有事の際にはUSBケーブルをつないでポータブルバッテリーの代わりすることも可能だ。
2023年にはオーダーメイド販売も実施。実際に30台近くを販売した。24年5月に始めた受注販売では、すでにTATAMEL BIKEを手にしたユーザーから得られたフィードバックを基にマイナーチェンジしたモデルを提供するという。価格は49万8000円を想定するが、原材料費の高騰や為替の変動により上下する可能性もある。
SusHi Tech Tokyo 2024 Global Startup ProgramではTATAMEL BIKEに加え、別モデル「tatamo!」の試作機も展示。tatamo!は電動での折り畳みが可能で、電動キックボードのように免許不要で走行できる乗り物になるという。イベントの現場では、撮影禁止だったものの電動折り畳み機能のデモなどを披露していた。
生駒代表によれば、TATAMEL BIKEは基本的にB2BでなくB2Cで販売する方針という。「自分はタカラトミー出身で、ずっと2Cをやってきた。B2Bも要望があれば販売するが、結局2Cで成熟することによって2Bでも便利になる方が品質の面でもいいと思っている。まずは一般の人に分かりやすく使ってもらい、魅力を感じてもらえる品質にしないことには、グロースもしないと思う」(生駒代表)
ただし一般販売や量産については協業相手次第なのが現状と生駒代表。今回のイベント出展も、投資家や協業先候補とのコミュニケーションが狙いという。「UXのデザインをしっかり作りこんでいくのがスタートアップの立ち位置。量産などものづくりの部分は、設備や環境の整った大企業のパートナーとやりたい」(生駒代表)
量産できた場合には、TATAMEL BIKEを1万台以上を売り上げたいという。ただしtatamo!についてはまだ試作機なことや、ニーズを分散させたくないこともあり、販売はTATAMEL BAKEより後、早くても数年後とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR