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「H3ロケット」3号機、打ち上げ成功 JAXA生配信で7万人超が地上からエール

» 2024年07月01日 12時47分 公開
[ITmedia]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月1日、次期主力ロケット「H3」3号機の打ち上げに成功した。YouTubeのJAXA公式チャンネルで行った生配信は、お昼時ということもあってか、一時7万2000人以上が視聴した。

打ち上げ9秒後

 打ち上げから1分57秒後、ブースターの「SRB-3」を切り離したH3ロケット3号機は、その後も第1段エンジンの分離、第2段エンジンの燃焼と順調に推移。予定通り、打ち上げからおよそ16分後に先進レーダー衛星「だいち4号」(ALOS-4)の切り離しが確認された。

だいち4号の切り離しに成功した直後の管制室。安堵の声と拍手が聞こえた

 だいち4号は、「だいち2号」の後継機となる、Lバンド合成開口レーダー搭載の“先進レーダー衛星”。新たに採用したデジタル・ビーム・フォーミング技術により、だいち2号の高い空間分解能(3m)を維持しつつ、観測幅を4倍(200km)に拡大する。

 これにより、地殻・地盤変動などの観測頻度が向上。震災などが発生した際の状況把握など、減災への取り組みで重要な役割を担うことが期待されている。

 JAXAは23年3月、H3ロケットの試験1号機の打ち上げに失敗し、搭載していた先進光学衛星「だいち3号」も失った。今年2月には試験機2号機の打ち上げに成功し、キヤノン電子が開発した小型衛星「CE-SAT-IE」を放出した。

 生配信で技術解説を担当したJAXA宇宙輸送技術部門のエンジニア・古谷勲さんは、「今回の成功により、H3は本物の衛星を打ち上げられると証明した。本格運用に向けて歩み始めたといっていい」と話した。また4号機の打ち上げも準備しているとし、「そう遠くない未来に打ち上げるので応援してほしい」と呼びかけた。

打ち上げ30秒前
打ち上げ2秒前
第2段ロケットとだいち4号(イメージ図)
先進レーダー衛星「だいち4号」(ALOS-4)

【訂正:2024年7月4日13時30分更新 ※初出時、試験3号機、試験4号機という記述がありましたが、誤りでしたので修正しました】

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