最新情報に正確に回答できるのは、最新情報を取材している高品質な記事をクロールし、参照しているためだ。記者が苦労して集めた情報にただ乗りしていると言える。
筆者も「これはただ乗りでは?」と不安になる回答に遭遇した。先日、ガザ地区の情勢についてPerplexityで検索したところ、参照元とされたNHKの記事とかなり似た内容が出て戸惑った。
Perplexityは、信頼できる回答を生成するため、高品質なニュースサイトだけをクロールしていると思われる。その結果、回答は「いろいろな情報をまとめた概要」ではなく、「特定のサイトにかなり似た内容」になる傾向がありそうだ。
また、WIREDの記事によると、Perplexityは、検索エンジンのクロールを避ける「robots.txt」ファイルを無視したり、検索エンジンに残されたメタデータなどでコンテンツを再構成するなどして、無断でニュース記事をクロールして回答生成に利用しているという。“ただ乗り”した上に、誤情報を生成するとして、WIREDはPerplexityを「デタラメ製造機」(Bullshit Machine)と強く批判している。
Perplexityの「まとめる力」は驚異的だ。並の記者より読みやすい文章で、知りたいことを簡潔にまとめてくる。文体も「伝統的なニュース記事の型」に左右されず、分かりやすさを最優先している。
Perplexityの読みやすさを見た記者は、「紙の新聞時代からWebに脈々と受け継がれてきた『ニュース記事の文体』は、Webで読みやすい情報の形とはかけ離れているのではないか」と感じて反省した。
人間の記者もPerplexityにならい、Webやスマートフォンで読みやすいよう太字や箇条書きなどを含めたテキスト情報の提示の方法を考え直す時期かもしれない。
一方で、人間にしかできないこともある。電話や足を使った、一次情報の取材だ。Perplexityのソースは、記者が取材して書き上げたニュース記事であり、記者がいなければPerplexityは情報を得られず、回答も生成できない。
Perplexityは今、「どのメディアよりまとまって簡潔な記事」を生成することでメディアを脅かしている。だがメディアが死んでしまえば、Perplexityも存在できなくなる。
Perplexityは記事を無断で引用してまとめるだけでなく、メディアと共存できるビジネスの方法を探るべきだろう。
米サンフランシスコ発の生成AI系スタートアップPerplexityが提供する検索AI。「最先端テクノロジーを使うことで、AIが質問に関連するネット上の情報を読み、会話形式で答えを出すようゼロから設計」したという。
ソフトバンクと提携しており、ソフトバンクやワイモバイルなどの携帯電話を利用しているユーザは、有料のPro版を1年間無料で利用できる(関連記事)。
記事内で記者が使っているのPro版で、AIエンジンは「デフォルト」。
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