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フリルがメルカリに負けた本当の理由 スマートバンクCEO堀井翔太氏が語る「エグい学び」の先教えて、スタートアップ反省談(3/4 ページ)

» 2024年08月29日 10時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

組織運営の課題 権限移譲とトップの採用コミットの不足

 フリルが直面した3つ目の課題は、組織運営、特に権限移譲とトップレベルの採用に関する問題だった。堀井氏は当時を振り返り、次のように語る。

 「事業がそこそこ大きくなっても、次のプロダクトの仕様で何を追加するか、どういう機能を入れるかなどを、創業者が中心になって話していました」

 この状況が、組織の拡大とともに大きな課題となったと堀井氏は振り返る。

 「製品開発に意識を向けすぎていたため、資金調達や重要な経営判断など、CEOしか行えない決断に十分な時間を割くことができませんでした」

 これは、創業者が細かい製品開発に関わり続けることの本質的な問題を浮き彫りにしている。つまり、製品開発に注力するあまり、資金調達や重要な経営判断といった、CEOでなければできない重要な役割に十分な時間を割くことができなくなってしまうのだ。

 「資金調達も全て私が担当していました。メルカリには小泉(文明)さんのような専門人材がいたと思いますが、フリルではそういった業務も私が行っていたため、その間は事業の進行が停滞してしまうことが頻繁にありました」

 さらに、トップレベル人材の採用にも課題があった。堀井氏は「自分を楽にする人を採らないと、結局権限移譲はできなかった」と反省を込めて語る。つまり、創業者の仕事を代替できるような人材の採用と育成が不十分だったのだ。

 この経験も、現在のB/43の組織運営に生かされている。「現在は、ミッション制を採用しています。例えば、家計管理機能の強化というミッションを持つチームを設置しています」と堀井氏。

 この「ミッション制」により、各チームに明確な目標と権限が与えられている。堀井氏は自身の役割の変化についても語る。

 「私の役割は、各チームに寄り添いながら、彼らがどのような課題解決を目指しているかを把握することです。そして、意思決定プロセスの最終段階で承認を行うという形で関与しています」

 つまり、細かい実務から離れ、より戦略的な判断に注力できる体制を整えているのだ。

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