この「弱冷房」モードはそもそも温度設定ができず、27℃を目安に、風量は「しずか」相当で動作する(風量の変更は可能)。
従来の冷房のように部屋を強力に冷やしたり、設定温度に近づけることよりも、消費電力を一定以上にしないことを優先して動作する。このため、部屋全体を冷やしたい時に使うと時間がかかってしまう。
「室温30℃のテスト空間を27℃にする場合、通常の冷房モードで約6分だったのに対して、弱冷房では約30分かかりました。それぐらい部屋が冷えるまで時間はかかります」(東芝ライフスタイル エアコン事業部 企画部 商品企画担当 大石剛久さん)
このため、帰宅した直後の部屋を急いで冷やしたいといったニーズには合わない。想定しているのは、電車の「弱冷房車両」のような優しい涼しさだ。
通常の冷房運転はフルパワーで部屋を一気に冷やす。そして室温が設定温度を下回ると運転をストップし、再び室温が上がると再び冷やす断続運転を繰り返している。この方が部屋を速く冷やすことができるうえ、設定温度をキープしやすいためだ。これに対して「弱冷房」はパワーを落とし、ゆっくりと部屋を冷やすことで消費電力を抑えている。
「車の運転に例えると、通常の冷房はストップアンドゴーを繰り返している状態。『弱冷房』モードは一度発進したら停止せず、常にゆっくりと進み続けているような状態です」(大石さん)
このようにゆっくりと冷房することにより、試験空間では運転開始から3時間後までの消費電力が、通常冷房で956Wh、弱冷房モードで494Whと半分近くに抑えられる。
この「弱冷房」モードは、多くのエアコンに搭載されている「弱冷房除湿」機能と名前が似ているが、機能としては大きく異なる。「弱冷房除湿」は除湿が目的のため、熱交換器を冷やして空気中の水分を結露させて除湿する。「弱冷房」モードは低消費電力を重視して動作するため、熱交換器を結露するような温度まで下げることはなく、そのため高い除湿効果は得られないという。
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