東芝ライフスタイルが、エアコンに「弱冷房」モードを搭載した背景には2つの要因がある。1つが、省エネ性の追求だ。同社では、近年の燃料費高騰もあり、エアコンを2023年にモデルチェンジした際、徹底して省エネ性能を追求したという。
「エアコンの省エネ性能を語るうえで特に注目されるのが、フルパワー運転でのピーク時の消費電力です。ここを省エネ化することで、高い節電効果が得られます。DRシリーズはフルパワー時だけでなく、室温が設定温度に到達したあとの安定運転時の消費電力も、従来機種と比べてかなり下げています。ただフルパワー時の省エネ性と比較すると広告的にあまりインパクトがないため、注目されにくいことが難点です」(大石さん)
この安定運転時の省エネ性能の向上は、熱交換機の形状やコンプレッサー技術などさまざまな要素が組み合わせによって実現したそうだ。
そしてもう1つの要素が、夏場の急激な気温上昇だ。気温上昇の指標として、環境省の「熱中症警戒アラート」があるが、これは「翌日の最高暑さ指数(WBGT)が33(予測値)に達する場合等に発表」される。「熱中症警戒アラート」の発表数(1シーズンの58地域の合計発表数)は2021年が613回、2023年が1232回と2年でほぼ倍増。2024年は9月25日までで1722回とさらに増えており、熱中症リスクが高まっているとわかる。
こうした状況で増えているのが、夏場のエアコンのつけっぱなし運転だ。短時間の不在ならエアコンは消さない方が省エネになることに加え、就寝時にエアコンを切るのも熱中症の原因になりかねない。そうしたことから、冷房を1日中つけっぱなしで使う家庭が増えているのだ。「弱冷房」モードは、はこのつけっぱなし運転を想定して開発された。
「お客様調査をすると、やはり冷房をつけっぱなしで使っている方が増えています。夜寝る時も止めず、タイマーなども使わないで28℃ぐらいでつけっぱなしにしている。そういう声が聞こえてきて、つけっぱなしに特化にした機能が必要だと考えました」(大石さん)
こうして生まれたのが新搭載の「弱冷房」モードだ。そして名称は、社内でアンケートを取った結果、弱冷房車両のイメージで、機能がわかりやすいことからこの名前になったそうだ。
暖房に関しては、「弱冷房」モードのように風量を抑えて運転しても、温かい風が天井に溜まってしまって効果が得にくいため、同様の「弱暖房」モードは搭載していない。その代わり、独自のレーダーがピンポイントで人を狙って集中的に送風する「節電」モードを搭載している。これは元々「節電冷房」機能だったが、新たに暖房にも対応。冷えやすい足元を集中的に狙って温風を送ることで、快適さ節電を両立している。
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