日本広告審査機構(JARO)は10月1日、設立から50年の間に寄せられた広告への苦情をまとめたWebサイト「苦情の50年史」を公開した。累計約26万件の消費者の声を分析し、時代ごとの件数の推移や内容、広告媒体などの変化について紹介している。なお、1974〜2013年度までは、電話とFAX、手紙などでの受付件数のみ、2014年度からはオンラインでの受付件数も計上している。
業務を開始した1974年度には54件の苦情が寄せられ、消費者を誤解させるような「うそ・大げさ・まぎらわしい」広告の苦情が多くを占めていた。その後、受付件数が増加し、1990年代にはテレビや折込の苦情が急増。2020年度には、違法なネット広告の増加と新型コロナの流行を背景に、過去最多の1万5100件を記録したという。
年代別で見ると、最初の10年間は不動産や食品の広告に対する苦情が多く、1984年度からは人事募集の広告に対する苦情が増加。1994〜2003年度には、バブル崩壊などの影響から、金融・保険業の広告に対する苦情が目立ったという。
続く2004〜2013年度では、東日本大震災により多くの企業がCMを自粛し、団体のCMが繰り返し放送されたことを指摘。「CMがしつこい」との意見が寄せられるとともに、根拠なく放射性物質への効果をうたった商品への苦情もあったとしている。
直近の2014〜2023年度には、ネット広告への苦情が急増。特に多かったのは、ゲームやマンガアプリなどに関するもので、性的表現や恐怖をあおる表現に対して「見たくない」「子どもに悪影響を与える」などの苦情が寄せられたという。
「50年間の苦情をひもとくと、経済・社会情勢、暮らし、流行など、時代を反映して苦情の商品・サービスが大きく変化していることが分かる。その一方で、人々がどのような広告に問題意識や不快感を持つのかについては、昔も今も変わらないと感じられると思う」(JARO)
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