マイクロミスト掃除機のヘッドには、ミスト発生デバイスと給水タンクが搭載されている。超音波振動によりマイクロミストを発生させ、ブラシヘッドの前方から吹き出す。ミストは、大きさが約10μmと極微細で、吹き出す量も毎分約0.9〜1.6mlの水を消費するというわずかなものだ。スチームや水拭き掃除機とは異なり床は濡れないため、フローリングのほかカーペットや畳でも使えるという。
「マイクロミスト掃除機は、数値は公表していませんが、従来品と比べてゴミの吸引能力がアップしています。またマイクロミストは粒子が微細で揮発性が高いので、床がべちゃべちゃになることがありません。そのためじゅうたんや畳でも使えるということで研究開発が始まりました。といっても、掃除機用のマイクロミスト技術がある訳ではないので、最初は超音波加湿器のようなものを無理やりノズルにつけてテストを始めました」と、パナソニックの酒井貴浩さん(パナソニック コンシューマーマーケティングジャパン本部 商品マーケティングセンター クリーナー商品マーケティング課 課長)。
マイクロミスト掃除機がより多くのゴミを吸引できる理由として、マイクロミストがもつ「液架橋力」という粒子同士をつなげようとする力が一役買っている。
床に噴霧したマイクロミストは、ハウスダストや皮脂などの汚れとブラシに付着する。ブラシと汚れの間に液架橋力が形成され、より効率的に吸引できるわけだ。さらにマイクロミストが汚れと床の間に入り込むことで、汚れが床にこびり付く力を低減させ、より吸引しやすくしているという。
とはいえマイクロミストは、水拭き掃除や洗剤・高温スチームなどを使った拭き掃除とは異なるため、皮脂汚れを取りやすくする効果はあるが、油汚れなどは取れない。
研究開発の段階ではマイクロミストの大きさや形状、吹き出し位置などをひとつひとつ検証。この工程に時間を掛けたそうだ。その結果、マイクロミストは前方から吹き出すことになった。ヘッドの底面から床に向かってまっすぐ吹き下ろす構造もテストしたが、それではミストがハウスダストに吸着する前に吸引してしまい、効果が出にくかったそうだ。
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