サブウーファーは不要でも、スピーカーの数が出音に影響するのではないかと心配する人もいるでしょう。確かに影響はすると思います。数が多ければ、音像におけるさらなる立体感を実感することが可能です。ただ、車内で主に音楽を楽しむという目的に照らせば、9つのスピーカーでも必要な条件を満たしていると思います。
実際、新型Model 3 RWDの試乗時に筆者のiPhoneから自身で制作した音源を再生してみましたが、車内の音楽鑑賞用のシステムとしては、必要にして十分な能力を持っていると感じました。
先ほど、イマーシブオーディオもオフにしていると言いました。その理由は、イマーシブオーディオをオンにしていると、各楽器やパートの定位感がイメージと異なるものになるからです。
これは筆者の推測ですが、Model 3のイマーシブオーディオは、出音の周波数特性や位相を制御するアップミックス処理を行うことで、音像に立体感を与えているものと思われます。それ故にでしょうか、そこに有って欲しくない初期反射を感じたり、定位感がイメージとは異なるものになり、どことなく居心地の悪い印象に支配されてしまいます。
本格的なイマーシブオーディオを楽しみたければ、中国の最新EVが装備しているようなDolby Atmosに対応する必要があると思います。それでこそ、マルチスピーカーの本領発揮といったところです。ステレオ音源からのアップミックスではなく、本来のDolby Atmosコンテンツであれば、制作者の意図したものに近い音空間を楽しめるのではないでしょうか。Apple Musicには、たくさんのDolby Atmosコンテンツがリストされています。Teslaにも対応を期待したいところです。
余談ですが、先日、WOWOW本社の試写室において、2023年に来日したMR.BIGの武道館最終公演をイマーシブ・オーディオで収録した映像作品を見る機会を得ました。イマーシブオーディオの第一人者ともいえるWOWOWの入交英雄氏がミックスとマスタリングを手掛けた作品だけあり、リアルな没入感を得ることができました。
武道館の没入感に加え、各楽器やボーカルの音が定位感を持って明瞭に聴き取れる音響空間に酔いしれました。自宅などにマルチスピーカー環境を構築するのは大変なだけに、クルマのオーディオがDolby Atmosに対応していれば、多くの人が本物のイマーシブ・オーディオを楽しむことができます。
話を戻しましょう。Teslaのオーディオで、音楽や映画もEQ設定を切り替えながら楽しみたいという人は、「ドライバープロフィール」を利用するといいでしょう。ドライバープロフィールは、シートやサイドミラーの位置を記憶するのはもちろん、EQ設定も記憶してくれます。プロフィール名に「映像鑑賞」などとして使い分けています。
まとめ的な意味で、Model 3の車内で音楽を楽しむ場合の論点をおさらいします。
ちなみに、バランス調整は、皆さんの好みや搭乗人員の構成等に合わせてその都度実施してください。
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