筆者は、EQの調整をマイルド・ドンシャリ設定にしています。ご存じのように「ドンシャリ」というのは、低域がドンドンドンと出て、高域がシャリシャリと鳴る、音圧を感じる押し出しの強いEQ設定のことです。それをマイルドにしたのがマイルド・ドンシャリで、筆者の造語です。Model 3のEQで言うと、「低音」を3.0まで上げ、「高音」を2.0に設定します。他はフラットなままです。
マイルドドンシャリにしているのは、この設定が筆者にとって、周波数特性上のフラットを感じる音だからです。Teslaのオーディオは、EQ設定が全て「ゼロ」の状態、つまりスライダーが面一で並んでいる設定において、高域と低域が少しばかりへこんでいるように感じます。
それを聴覚上でフラットにするためには、マイルドドンシャリ設定がベストだと判断しました。そして、大切なポイントは、サブウーファーを「ミュート」する点です。
せっかく搭載されたサブウーファーをなぜミュートするのかと、いぶかしく思う向きもあるかと思いますが、サブウーファーからの音は、ベース、ピアノ、チェロの低音など、低域の輪郭をぼやかしてしまうからです。
筆者がミックスやマスタリングを手掛けた音源を鳴らすたびに感じるのは、「ベースの音はこんなに輪郭がボケた音じゃない」「低音に芯がない」ということです。しかし、サブウーファーをミュートしたらイメージに近い低音が再生されるようになりました。
良質なサブウーファーであれば、ミュートをしなくても、イメージ通りの締まった低音が楽しめるのでしょうが、筆者の印象では、Model 3のサブウーファーはそれほど高品質には感じません。おそらく、ユニットの応答性が悪いため出音に遅延が発生しているためだと思います。遅延があれば当然、位相ずれが発生し、音の輪郭に影響を及ぼします。
そもそも、上図からも分かるように、サブウーファーはトランクに搭載され、キャビンとはシートや内張等で隔たれています。ピュアオーディオの世界では、各ユニットの配置を調整したり、電気的な処理を施すなりして、遅延による位相ずれを最小限にとどめますが、Teslaの車載オーディオはそのような調整を行っているのでしょうか?
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