楽天は11月6日、ロボットによる配送サービスを東京都晴海周辺で開始した。遠隔操作とAIを活用した自動走行機能などを組み合わせ、人が同行することなくロボットのみで配送ができるという。実際に晴海の道路を走行するデモでは、横断歩道での一時停止や通行人との衝突回避を披露した。
ロボットの最高時速は5.4km。サイズは45.5(幅)×71(奥行き)×120(高さ)cmで、約24Lの積載容量を持つ。暗証番号によって積載部を開閉することで、安全に商品を運べる他、保温機能と保冷ボックスを内蔵することで、温かい食品から冷凍商品まで配送できる。
ロボットは、米Google出身メンバーを中心に設立されたスタートアップ・米Cartkenが開発し、三菱電機グループが国内の安全基準などを満たすために改修している。前後左右に高解像度カメラを4台、距離測定カメラを3台搭載。これにより、ロボットの周辺状況を確認して遠隔操作したり、障害物とぶつかりそうになった際に自動で緊急停止したりできるという。
今回のサービスでは「スターバックスコーヒー 晴海トリトンスクエア店」「吉野家 晴海トリトンスクエア店」「スーパーマーケット文化堂 月島店」を対象に、 5300品以上の商品を取り扱う。晴海1〜5丁目、月島2・4丁目の一部、勝どき2丁目の一部における62カ所に、年末年始などの一部を除く毎日、午前10時〜午後9時まで配送できる。配送料は100円。
サービス開始時点では、晴海地区のオペレーション拠点に配置する2台のロボットで商品を配送する。今後のサービス拡大に伴い、ロボット台数をはじめ、配送商品や範囲、料金などが変わる可能性があるとしている。
楽天は以前からロボットによる配送の事業化に取り組んできた。2021年3月には、国内初となるロボットの公道走行によるスーパーからの配送を実施。22年11月〜23年12月には、つくば市内でロボットによる配送サービスを展開してきたが、人が同行しないロボット単独での配送は今回が初めて。
同日に開かれた発表会では、晴海地区でデモンストレーションを実施。商品を積んだロボットが片道約500mの公道を走行した。
ロボットが走り始めてまず驚いたのは、その走行速度だ。最高時速は5.4kmで「徒歩より少し速い程度」と説明があったもの、走行するロボットを撮影しようとする記者たちの多くが駆け足を強いられていた。
衝突回避機能の紹介では、歩行者役の女性が走行するロボットの前を通過。緊急停止するロボットの姿が確認できたが、その際、ロボットの後輪が浮いていた。その走行速度と高い制動力がうかがえるが、この件について楽天に聞くと「問題のある動作ではない」との回答があった。
「配送ロボットは6輪の車輪によって走行しているが、実質的には中央の2輪で動いている。そのため急停止する際には後輪が浮いてしまう」(楽天)
「積載物が傾いたり、衝撃が加わったりすることが考えられるが、大丈夫か」との質問に対しては「人が運ぶ商品と同じように、例えばドリンクなどであれば漏れることのないようパッキングしてあるため、こぼれる心配などはない」とのことだ。
他に、横断歩道の前で一時停止する姿も確認。停止は必ず行い、遠隔操作者がロボットのカメラで信号の色を見てから指示を出すとのことで、楽天によると「AIの画像処理による信号確認の精度は100%ではないため、人が判断する」という。
【訂正履歴:2024年11月6日18時 記事掲載当初「片側3輪の車輪によって走行しているが、実質的には前の2輪で動いている」と記載していましたが、正しくは「6輪の車輪によって走行しているが、実質的には中央の2輪で動いている」でした。訂正いたします】
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