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施行前でも「コイルガン所持」で逮捕? 改正銃刀法を整理する(2/2 ページ)

» 2024年11月20日 14時30分 公開
[井上輝一ITmedia]
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 ITmedia NEWSがこの事件の担当である警視庁に問い合わせたところ、容疑は「10月5日、被疑者方において回転弾倉式拳銃1丁を所持したもの」という。少なくとも法的観点では「コイルガン所持」が逮捕容疑ではなさそうだが、コイルガンが回転弾倉式拳銃の機能も持っていたのかは明らかでない。

 報道写真で出ているコイルガンのような構造の銃と、容疑にある「回転弾倉式拳銃」が同一のものかどうかは「確認と回答に時間がかかる」(警視庁)として直ちに答えは得られなかった。

なぜネット民の間で話題になっているのか

 いままでコイルガンの所持や発射は合法かつ、一般的な電子工作用のパーツから製作可能だったこともあり、ニコニコ動画などに製作方法や発射時の様子が上がっていた(今もある)。

ニコニコ動画を「コイルガン」で検索した結果、タグを含む動画は11月20日現在で72件ヒットした

 合法である(かつ人を傷つけたりしない)限りは問題はなく、こうした「ちょっと危ない」ジャンルは一部の若年層の知的好奇心を刺激する。筆者が取材してきた中でも、現在はモノづくりで活躍している人で「コイルガンから電子工作を始めた」という人もいる。

 このような背景からコイルガンはネット上で一定の知名度を得ていた。

 NHKも「容疑者は製造する様子を写した動画を動画配信サイトで公開していた」と報じており、容疑者はネット上で活動していた人のようだ。

見せしめではないか

 施行前にあえてコイルガンの情報を出したのは見せしめではないか、という意見もネット上では散見される。

 警察庁をはじめとする全国の都道府県警察は現在、コイルガン所持違法化の施行に向け、コイルガンの回収も行っている。施行日から6カ月以内は移行期間として、措置を行えば所持し続けられるとしているが、措置がない場合は不法所持となる。この周知のためだったのでは、という見方もある。

 容疑の対象となる銃の詳細や報道発表の目的について、警視庁から回答があり次第追記する。

「レールガン」とは違うのか

 コイルガンとともに、電力で弾丸を発射する機構として知られるのが「レールガン」だ。最近も、防衛装備庁が巨大なレールガンの開発を続けているとして話題になっている。

防衛装備庁が開発する「レールガン」(出典:防衛装備庁の公式YouTube動画

 レールガンとコイルガンはともに電気を使って弾丸を発射するが、推力の得方が異なる。

 コイルガンは、コイルに電流を流して電磁石とすることで、鉄など磁性体の金属弾丸を引き付け、その勢いで発射するものだ。

 一方のレールガンは、磁力ではなくローレンツ力を使う。「フレミングの左手の法則」といえば思い出す人も多いと思うが、「電流が流れている導体に磁場をかけると、電流と磁場の直角方向に対して力が発生する」というものだ。改正銃刀法では電磁石銃の定義を「電磁石の磁力により金属性弾丸を発射する機能を有する銃のうち……」としているため、レールガンは改正銃刀法上の「電磁石銃」には当たらないとみられる。

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