インタフェース干渉は、OECD(経済協力開発機構)など複数機関の類型の中に見られるメジャーな手法だ。情報のフレーミング、つまり表現の仕方で情報の印象を変え、事業者にとって都合のよい行為を促す。
NHKの「ご利用動向の確認」画面では、契約義務という重要な情報を出さず(隠し情報)、放送用語や災害情報で誤解を与えかねない(注意そらし)内容になっている。意図的かどうかは別にして、複数のダークパターンが含まれているとみられる。
このうち、文言に放送用語が使われた理由については、一つ心当たりがある。9月に行われた「NHK受信料制度等検討委員会」資料に、受信料を地上契約と同額にする場合に「新たな種別(地上契約のような種別)を設けることなく、地上契約と区別せず取り扱うことに合理性がある」という文言が出てくる。理由は「支払者の視点からすると困惑するおそれがある」からだという。
しかし地上契約と区別しないことがユーザーを惑わせる文言の原因になったとしたら本末転倒だ。NHK受信料制度等検討委員会に名を連ねる大学の先生方は、この画面を見てどう思うのだろうか。
NHKに上記のダークパターンに関する説明や参考文献へのリンク、ダークパターンに見える理由を細かく書いて見解を求めたところ、以下のような返答があった。
「受信開始の確認ボタンはテレビの設置と同じ意味を持つことを十分に理解してから押していただく、受信を開始した後には契約と支払いをお願いするという、これまでの流れは変わりませんが、受信契約の対象となるサービスの受信開始までの手続き、受信開始後の利用アカウント登録や契約確認までの手続き、解約の手続きなどについては、視聴者・国民の皆さまに誤解が生じないものにすることが重要だと考えています。今後、様々な観点を踏まえて、画面表示の方法・内容も含めた手続きの詳細を検討してまいります」(全文ママ)
「誤解が生じないものにすることが重要」という言質は取れたが、ダークパターンという指摘に対する見解や反論は得られなかった。
後編「NHKのネット受信契約(案)、一度“同意”したら取り消せない、は取り消しか」では、引き続き受信契約の手順(案)や解約方法について、NHKの見解を交えつつ取り上げる。
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