中身作りでの注意点としては、本文や目次、見出し、タイトルなどは全部、あらかじめ作っておくことだろう。もちろん、細部の修正はレイアウトしながらでいいのだけど、前にも書いたようにページ単位での入れ替えができないというのは、本作りにおいてはかなりのハードルになる。きちんと、大見出し、小見出しを構造化して、書式設定でフォントやサイズを決めてスタイル登録をしておくと楽だ。
オンデマンド印刷が楽なのは、ページ数を16ページとか8ページといった単位に合わせなくてもよいこと。ただ、ワープロ・ソフトで作る場合、見開き表示にして、思ったようなページ割りになっているかの確認を行う必要はある。
また、紙の本なので、最初に文字の大きさや行間、字間などの見た目の設定は慎重に。行の頭に一文字だけ残っていて改行していたり、1ページに1行だけで改ページといったレイアウトは、紙の本だとなるべく避けたい。
ページ全体の見た目がキレイだと、本は読みやすいし、ちゃんと作っている感じが伝わるのだ。紙の本は「モノ」なので、ディテールが案外重要なのだ。
できあがったら本文のページ数が分かるので、KDPのヘルプページで、表紙のサイズ計算を行う。判型とページ数を入れると、テンプレートを作ってくれるので、そのテンプレートに合わせて表紙を作成する。
その際、重要なのは、実際のサイズより少し大きめに画像を入れること、印刷可能範囲からはみ出さないように文字を入れること(特に背表紙の文字はエラーになりやすいので注意)、余分なリンクや不可視データを残さないこと、といったところで、本文同様ワープロソフトやグラフィックソフトで作成してPDFで書き出す。
ただ、筆者は本の表紙というのはとても重要だと思っているので、ここは、友人のデザイナーに頼んで作ってもらっている。とはいえ、写真などはこちらで用意するし、表紙に入れる言葉なども、こちらで決める。さらに、こんな感じかなとか、雰囲気とかは相談しながら決めていく。
筆者はこの1年半で7冊の本を作ったのだが、全て同じデザイナーに表紙を手掛けてもらうことで、レーベルとしての統一感も出たと思う。また、文学フリマで売る場合、表紙に引かれて足を止めてくれる人が結構いた。前にも書いたように、本は「モノ」なので、見た目はとても重要なのだ。
この表紙に関して気がついたことがある。去年くらいから、文学フリマで販売されている本の表紙のレベルがかなり上がっているのだ。つまり、生成AIの普及。生成AIで作った背景に、カッコよくロゴを組み合わせると、それだけでかなり「本」らしい表紙になる。
ポイントは、文字の書体と配置で、そこはもうセンスというか、生成AIはあまり得意ではない部分。だから、差は文字でつくというのが、何とも「本」らしくて面白い。
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