分かりにくいけれど面白いモノたち
「文学フリマ」の盛況を支える“KDP出版”とは? リスクを抑えながら自費出版する仕組みと楽しみ(4/7 ページ)
筆者も、タイトルを決めたり、英語タイトルやサブタイトルなどは、AIと相談しながら決めることが多い。出版社では、本のタイトルというのは、結構、編集者や営業が決めることも多く、それはそれで一理あると筆者は思っている。著者の思い入れだけで作られた本は、商品として弱い。他社の視線が入った方が、面白いものができる可能性は高いと思うのだ。そこで、第三者としてAIに頼ったりしている。
ただ、時代が変わっても、結局人力が便りなのは文字の校正だ。どれだけ読み直しても、誤字脱字は見つかるのが本という存在。だから、もし時間があるのなら、全部できあがったあと、KDP出版の「校正刷り」サービスを使って、実際に紙の本を読みながら校正を行うことをお勧めする。この実際に売るものと同じ体裁の本で校正ができるというのも、オンデマンド印刷の魅力の一つだろう。
他の印刷・製本サービスもほぼ同じ要領で使える
KDP出版の使い方については、ヘルプページや、ネット上に沢山ある解説記事(筆者が書いたものもあります)を参考にしてほしいが、ここで言いたいのは、KDPで一度本を作って、PDF入稿を覚えれば、他の同人誌印刷屋さんやオンデマンド印刷を行っている印刷所など、他の印刷・製本サービスも、ほぼ同じ要領で使えるということ。むしろ、KDPのように完全に機械任せにするのではなく、人の目や手が入る分、巷の印刷サービスの方が使いやすい場合がある。
また、KDPのように、1冊から安価で作ることができるサービスは、1冊作っても100冊作っても1冊あたりのコストは変わらない。なので、文学フリマ用に2~30冊作って、売り切ってしまおうというような場合はいいのだけど、100冊、200冊作るとなると、印刷屋さんのサービスの方が安上がりだったりする。ただし、その場合、200冊分とかを前払いすることになるので、初期コストはそれなりにかかる。
また、KDP出版は、元々アメリカのサービスなので、選べる判型が日本のサイズとは微妙に違う。その微妙な違いがカッコよくて、筆者はKDPの新書サイズに近いけど、ちょっと幅が広い判型を使っている。でも、例えば文庫本を作りたいといった時、KDPには文庫サイズの選択肢がないのだ。
筆者が12月の文学フリマ用に作った「菊月千種の夕暎」という本は、文庫サイズで出したかったのと、他の印刷屋を使ってみたかったことから、京都の「ちょ古っ都製本工房」を使ってみた。こうやって、遠方の印刷屋さんが使えるのも、オンライン入稿あってのこと。
文学フリマで色んな本を買って、奥付を見ると、印刷・製本をどこで行ったかが書かれている場合がある。気に入った製本だったりすると、その印刷所を検索して、使うかどうかを検討するというのも、本作りの楽しさの一つなのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
LINE、着せかえ表示問題を謝罪 希望者に返金へ
-
2
FANZA、成人向けAI創作・公開サービス「FANZAスタジオ」発表 先行体験は8月24日から
-
3
スマート給餌器で38時間の障害、ペットがご飯食べられず 飼い主の苦情殺到 「旅行中なのに」「猫が死んじゃう」
-
4
法務省、「ラヴ上等」とのタイアップ中止 「当初の意図を全うすることが難しい」
-
5
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
6
中国の動画サイト「bilibili」にグローバル版アプリ 日本でも配信開始 まずはAndroidから
-
7
Anthropic、8月末にもIPO申請書類を公開か 調達額はSpaceXの過去最大に匹敵と米報道
-
8
終了発表の縦読み漫画「comico」――元重課金ユーザーが振り返る「いつしか開かなくなった」理由
-
9
Wi-Fi・防災・暑さ・クマ出没――10の都民向け情報を1枚のマップに 「Tokyo Map」正式公開
-
10
目指すは、日本発IPで海外売上20兆円 経産省が新戦略を発表 「ものがたり大国5カ年計画」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR