KDPのシステムは、いわゆるオンデマンド出版である。つまり1冊から本を作ることができる。しかも、例えば、180ページくらいの表紙はカラーで中は白黒の新書判のペーパーバックを作るのに、1冊なら600円程度でできてしまう。
そしてAmazon上で好きな価格を付けて販売できてしまう。Amazonで売るだけなら在庫管理も不要だし、持ち出しもゼロ。つまり、「とりあえず試しに本を作ってみるか」ということが、金銭的リスクをほとんど考えずに可能になるということだ。
KDPを使う場合、まず、Kindle Direct Publishingのサイトから、Amazonのアカウントか、新しくアカウントを作ってログインする。本自体は、PDFで入稿するので、好きな環境で作ればいいのだけれど、KDPでは作れる本の判型や紙が決まっているので、このサイトのヘルプページを見ながら、本の仕様を確認していくことになる。
決める必要があるのは、まず判型、そして紙とカラーか白黒か、断切り印刷をするかどうか、といった部分。とりあえず、そうした本の外観が決まれば、サイトに設定例が載っているので、それを見ながら、自分が作りたい判型に合わせて、上下左右のマージン幅を決める。
KDP出版で作成可能なペーパーバックの判型と最小、最大のページ数の一覧表(KDP出版のヘルプページより)。海外ではハードカバーも作成できるようだが、現在のところ日本ではペーパーバックのみ。日本の出版物とは微妙にサイズが違うそこまで決まれば、あとは好きなソフトでレイアウトするなり、組版を作るなり、そこは好きに本の中身を作ればいいのだが、面白いのは、最近の印刷屋さんは、このKDP同様、PDF入稿で本が作れてしまうこと。カラーページをCMYKで入稿するといったことが必要ないのだ。
写真の解像度も、四六判程度ならスマホで撮ったもので何の問題もない。長辺が2000ピクセルもあれば十分だ。もっとも、大判の写真集を作るなら、それなりの解像度は必要だが、ファイルはRGBのJPEGファイルで構わない。
フォントもPDFに埋め込めば良いので、手持ちの普通のフォントが使える。モリサワなどのフォントでなくても構わないし、アウトラインを取る必要もない。それこそ、「Word」や「Pages」などで作ったファイルを、そのままPDFに書き出せば、それが本になってしまうのだ。
「Indesign」があるに越したことはないが、凝ったレイアウトにしないのなら、Wordでも十分。ただ、ワープロソフトは、DTPソフトと違って、レイアウトを決めたら流し込むとか、ページ単位で移動するといったことはできないので、とにかくテキストや図版を全部用意してから、最初のページから順に作っていく必要がある。これは、ワープロソフトに慣れていないと、ちょっと手こずるかもしれない。
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