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映像編集の“面倒くさい”をどんどんAIに Premiere Pro β版に搭載された、2つの新機能を試す小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/3 ページ)

» 2025年02月10日 16時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 AIは、それぞれの素材に何が写っているのか、どんなアングルか、何色が含まれているかといった情報を読み取り、メタデータとしてプロジェクトインデックスに記録する。

AI解析中の画面。「プロジェクトインデックスにビジュアルメタデータを追加します」という記載が見える

 編集者は欲しいカットが見つからない場合、テキスト検索によって素材を見つけ出すことができる。入力するのは、画像生成AIに入力するプロンプトと変わりない。何が写っているか、どういうアングルか、昼か夜か、といった条件で検索できる。

 現時点では、日本語のプロンプトには対応していない。だが英単語で入力すれば、検索できる。複数の単語を連ねれば、絞り込みもできる。

「tall tree」で検索した結果
条件を追加するとさらに絞り込まれる

 最終的には、解像度やフレームレート、データがあればカメラ名や絞り値など、技術的メタデータも併用して検索できるようになるだろう。技術パラメータは撮影時にカメラ側で記録していないとどうにもならないが、これまで編集時にはあまり活用できていなかったのは事実だ。ただ、現時点ではメタデータ検索はそれほど正確ではなく、該当しないものも引っ掛かってくる。このあたりは検索書式が明確化されれば精度は上がってくるだろう。

解像度など技術的メタデータでも検索できるようになるとみられる

 現時点では、Premiere Proに組み込まれた機能ゆえに、プロジェクトに読み込ませた素材しか解析の対象にならず、解析情報はプロジェクトファイルのキャッシュか、素材ファイルと同じフォルダ内のサイドカーファイルに記録するかの選択になる。将来的に期待したいのは、これが別ツールになり、素材を記録したHDDやSSDなどの中身をいっぺんに解析してメタデータ化してくれることだ。具体的には、「Adobe Bridge」のようなアセットマネジャーにこそ搭載すべきである。

 こうした機能は放送局向けのアーカイブシステムではすでに存在するが、個人やプロジェクト単位、小規模プロダクションで利用できるようなものではない。

 さらにAI解析によるメタデータの持ち方が標準化されれば、一度解析したクリップならどの編集ツールでも、あるいは素材ブラウザのような別ツールでも検索が可能になるだろう。これがその第一歩であることを期待したい。

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