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倒れない大画面テレビ「VIERA」、地震の時だけ床に吸着する吸盤の仕組みを聞いた知らないと損!?業界最前線(2/5 ページ)

» 2025年02月22日 07時00分 公開
[河原塚英信ITmedia]

一般的な吸盤の仕組みと課題

 まず始めに一般的な吸盤が吸着する仕組みをおさらいしよう。吸盤が床や壁などに押し付けられて固定された状態では、吸盤の内側は空気がほとんどなく真空に近い状態になっている。そのため吸盤内側からの圧力、つまり吸盤を押し返す力は極めてゼロに近い。その結果、大気圧が吸盤を押しつけている状態になる。これが「吸盤がくっついて外せない」状態だ。

 こうして吸着した吸盤を外すには、吸盤の端っこにあるツマミなどを引っ張って、吸盤の内側に空気を入れる。すると吸盤の内側と外側の空気圧(押し合う力)の差がなくなるため、吸着していない状態に戻り、スムーズに取り外せる。

 しかしこの一般的な吸盤は、時間が経つと髪の毛1本以下のわずかな隙間からでも空気が侵入し、徐々に吸盤内側からの圧力が増え、内側から吸盤を押し返す力が増してしまう。

 「よく浴室や洗面所などにくっつけた吸盤が、ある時にポロッと落ちてしまうのは、吸盤に空気が侵入するも要因の一つです。長い時間をかけて吸引力が低下してしまうんです」

 そう語るのは、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション ビジュアル・サウンドビジネスユニット 機構設計部 主幹 本多和也氏。

 「テレビの台座の底部に、一般的な吸盤を固定用に取り付けたとします。その後、地震が先ほど話した吸盤がポロッと落ちるタイミング、もしくは吸着力が下がった状態の時に発生した場合、テレビは転倒してしまいますよね。そのためVIERAの転倒防止スタンドには、一般的なものとは異なる仕組みの吸盤を採用しています」

転倒防止スタンドが搭載する吸盤の開発に携わったパナソニックの本多和也氏

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