同じくモバイル通信を利用した方法として、スマートフォンのテザリングを使うことで自宅内のWi-Fiをまかなう、という手段もある。最近ではモバイル通信サービスでもデータ通信が使い放題をうたうものが増えているだけに、テザリングを使えばスマートフォン1台で自宅内のインターネット環境をまかなうことも不可能ではない。
テザリングのメリットは、手持ちのスマートフォンで契約している回線を用いため、追加費用がかからないことだ。固定ブロードバンドやホームルーターは、いずれも割引がなければ月額5000円から6000円、あるいはそれ以上の料金がかかってしまうが、テザリングを使えば別途費用がかかることはない。
それでいて最近の5G対応スマートフォンはホームルーターと同様、理論値であれば通信速度がギガを超えているものが多い。パソコンやタブレットでのSNSや動画視聴など、あまり高度な使い方をしなければ自宅内のインターネット環境をまかなうのに十分な性能を持つことは確かだ。
ただ正直な所、筆者はテザリングを固定回線替わりに使用することはあまりお勧めしない。理由の1つは、そもそもスマートフォンが自宅にないと通信ができないこと。帰宅後にテザリングの設定をして自宅の機器をインターネット接続し直すのは手間であるし、ネットワークカメラのように常時インターネット接続が必要な機器も利用できないからだ。
2つ目は、スマートフォンのバッテリーに負荷がかかることだ。テザリング中はスマートフォンの電力をかなり消耗するため、自宅で利用する際には充電したままテザリングすることになると思うが、高い負荷がかかったスマートフォンを充電しながら使用するとバッテリーに大きな負荷がかかり、寿命を縮める要因となってしまう。
そして3つ目は、データ通信使い放題をうたうサービスであっても、テザリングには制約がかかる場合があることだ。その代表例となるのがKDDIの「auマネ活プラン+」などで、使い放題とうたっているがテザリングなどの利用は月当たり60GBまで、スマートフォン上でのデータ通信を加えても月当たり200GBを超えると通信速度は最大5Mbpsに制限される。
使い放題プランを提供する携帯4社の中でも、特にKDDIはテザリングに厳しい。「auマネ活プラン+」もテザリングの利用は使い放題にならず、テザリングを含め月当たりの通信量が200GBを超えると通信速度が最大5Mbpsにまで制限されるそれだけにテザリングは、やはり外出時などでの利用にとどめるべきだ。ただ追加サービスなしでいつでも利用できるだけに、例えば固定ブロードバンドの工事が終わるまでの“つなぎ”としてテザリングで自宅内のWi-Fiをまかなうなど、臨時の利用であれば大いに役立つのではないだろうか。
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