東京農工大学に保存されていた日本有数の計算機コレクション「西村コンピュータコレクション」が全廃棄の危機に陥っているという情報がXで拡散し、支援の申し出が相次いでいる。
電子計算機の日本史を研究している前山和喜氏(K.Maeyama/@mk95_hoc)のXによると、同コレクションは農工大が廃棄を決め、同氏に処分を託したという。同氏はXで4月8日、コレクションを保存するための支援を募集。300万回以上表示されるなど注目を浴びた。
Xでは、さくらインターネットの田中邦裕社長をはじめとした多くの人が支援を申し出た。前山氏は9日、「かなりの数の問い合わせが来ており、お返事まで時間がかかりそう」と述べている。
西村コンピュータコレクションは、東京農工大学工学部の西村恕彦名誉教授(故人)が中心となって収集したもの。
電動式計算機やPCなど重さ10kg程度のものが100台、リレー計算機など重さ100kgを超えるものが30台、手回し計算器が200台、ハードの部品が約3000点、マニュアルなど書籍が1500冊、カタログなどが2000枚含まれている。
中には、情報処理学会が情報処理技術遺産として認めた「HITAC 10」「TAC ウイリアムス管・真空管および関連資料」「HARP5020関連資料」といった貴重な資料もあるが、完全な整理はできていないという。
農工大から処分を引き受けた前山氏は、総合研究大学院大学で電子計算機の日本史を研究している研究者。コレクションについて「良くも悪くも『何が保存されているかわからない』」ことが特徴であり、「砂金をめっちゃ含んでいそうな砂場」とも表現している。
前山氏は「部分的には絶対に引き取り手のある資料だが、価値はこれが集まってること」だとし、全て保存するか、廃棄するかの二択だと考えている。現在コレクションを保管している場所は2年間しか使用できず、このままでは処分される予定という。
さくらインターネットの田中社長は8日、Xのリプライで「さくらインターネットで、お引き受けできる範囲で、お手伝いさせてください。貴重な資産を未来に引き継ぐために、お手伝いさせてください」と支援を申し出た。他にも支援のオファーが続々と届いているようだ。
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