AWS障害とは別に、Oracle Cloudで情報漏えい疑惑が浮上する事態も発生した。3月に「rose87168」と名乗るハッカーがOCIのSSOサーバから約600万件の認証情報を窃取したと主張し、ダークウェブ上で販売を試みる事案が表面化した。
デジタル庁は、ブリーフィングで「(OCIには)影響がない障害だとOracle社も公表。われわれも万が一を考慮してガバクラOCIでそういうことがなかったか、犯人側が出しているものをベースにユーザーに確認もした。ガバメントクラウドサイドとしてもOracleの対応を含め、問題ないという判断をしている」と回答した。
ガバメントクラウドを巡っては、地方自治体側で運用コストの増大が懸念されている。「中核市市長会の調査では移行後の運用経費が平均で2倍強に増加見込み」との報告もあり、自治体や事業者からはシステム運用費の増加に対する懸念の声もある。
一連の声を受け、デジタル庁は現在232の自治体から寄せられた見積もりの精査を実施したという。その過程ではサーバの過剰なスペック設定や、不要なサービスの重複計上などが明らかになり、ある市では当初見積額から約60%の削減、ある県市町村では約37%の削減、またある県の町村会では約46%の削減を実現したと強調した。
「人口1000人とか2000人の村で、持っているデータの大きさは知れているはずなのに、クラウドの見積もりを見ると何テラバイトもの全データバックアップを高頻度で取ることになっていた。そもそもその自治体のシステムに何テラバイトのデータが入っているのか」(デジタル庁)
マネージドサービスの活用による「インスタンスのサイズ最適化」「検証環境の夜間・休日停止」「適切なバックアップ方式の選択」などでもコスト削減の余地があるとデジタル庁。AWSでの利用サービス率を見た際、地方自治体では仮想サーバ(EC2)が全体の57.4%を占めているが、国の利用では15.8%にとどまっているといい、EC2の利用率を最適化することでクラウド利用料の削減が可能とした。
クラウドベンダーとの交渉も進めているという。デジタル庁ではクラウド利用料の割引権獲得を行っており、AWSからは「20%割引を提供することを目標としている」との回答を得たという。一方デジタル庁は「20%は通過点」として、さらに有利な条件を引き出す交渉を続ける方針だ。
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