コロナ禍時代には、家庭内においてエアコンのない部屋に一時的に設置して部屋を涼しくする、「スポットクーラー」が注目された時期があった。旧製品の「EcoFlow WAVE」もそうした文脈で語られることもあったが、基本的にはAC電源ではなくバッテリーで動くエアコンなので、一般家庭に常設で使うような製品ではない。今回発売されるWAVE 3に至っては、本体と専用バッテリーパック合わせると25万円ぐらいするので、その金額出すなら普通のルームエアコンが付けられる。
つまりWAVE 3は、電源が引けない場所で使うことが前提の商品だ。1つは建売住宅の建築現場などにおいて、まだ電気工事が終了していない時点で労働環境を保全するといった目的が考えられる。ただこれは、ポータブルバッテリーとスポットクーラーでも解決できる。
WAVE 3が強みを発揮するのは、車内やテント内である。6畳以下の空間温度を15分程度で約8度下げる冷却能力がある。車載のカーエアコンはエンジンをかけないと冷風が出せないが、エンジンがかけられない時間帯もあるだろう。
またスポットクーラーとの違いは、暖房や除湿もできるということである。動作モードとしては、自動/冷房/暖房/除湿/送風の5種類を備えている。
また今回から、「ペットケア機能」が追加された。これはアプリで温度設定しておくと、自動で冷房がオンになる機能である。またアプリにもアラートが通知される。
スーパーの駐車場などでは、ペットを車に残したままで買い物している人をよく見かける。今の季節は問題ないだろうが、キャンプが盛況となる夏場は心配だろう。ユーザーの要望があって追加された機能だという。
可搬型だがちゃんとしたエアコンなので、排気と吸気のダクトを車外に出す必要がある。このため、窓に取り付けてダクトを出すための窓シートが別売で販売されている。マグネットでくっつけるタイプなので、多くの車に対応できるだろう。
関連アクセサリーとして、シャワーキットがある。屋外では汚れた車や靴を洗ったりと、意外に水洗いの機会は多いものだが、貴重な飲料水を使うのはためらわれる。WAVE 3は一般のエアコンのように、内部の結露を水として排水するので、この排水を溜めておき、無駄なくシャワーとして使えるというものだ。また清潔な水が手に入る場合は、それを使って自分の手や身体を洗ったりペットを洗ったりといった用途にも使える。
動作時間は、専用バッテリーパックでエコモードなら約8時間。ただ夏場は夜でも、エコモードでは厳しいだろう。ACでも駆動できるので、夏場はポータブル電源と併用して通常モードで使った方が、就寝時間は確保できる。
動作音は44〜58dBとなっている。静かじゃないと眠れないという人がキャンガチ勢にいるか分からないが、動作音が気になるなら、本体を屋外に出し、ダクトで冷気を車内に引き込むというセットアップにも変更できる。室内を広く使いたい場合にも有効だ。
ちなみに重量は、本体とバッテリーパックで25kgぐらいになる。かなりガチ勢でなければ手を出せない代物だが、これが第3世代になるまで日本で支持されているわけである。
ECOFLOWの自社調査によれば、ポータブルエアコンの利用者は約半分が1人車中泊、ペット同伴の車中泊も合わせれば、65%にも上る。
車中泊でポータブルエアコンの需要が高いのは、1つはやはり車中の暑さ寒さは、テントとは違う対策が必要ということだろう。もう1つは、治安の問題である。テント泊の場合、それほど金目のものを持っている可能性もないので、盗難が起こったとしても盗まれるのは食料ぐらいだろう。だが長期の車中泊の場合は高価な装備や現金もあるだろうし、女性の場合は身体への危険もある。窓を閉めてロックして寝るという事情も大きいのだろう。
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