「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でリポートします。
今回は、室内カメラの役割、CEV補助金によるシバリという2つの話題について語ります。
筆者が乗る21年型Model 3 ロングレンジ AWDには、室内ミラー上部にキャビンカメラが設置されています。このキャビンカメラで思い出すのは、ロイターが報じた「テスラを提訴、車載カメラ『プライバシー侵害』内部で画像共有」というニュースです。
我々ユーザーとしては、コンプライアンスの順守に努めて頂きたい、としか言いようがありません。ただ、キャビンカメラのデータ分析をユーザー側でオフにすることもできます。筆者自身は、Teslaによるインテリジェント機能の継続的な改良に協力することはやぶさかではないので、オフにはしていません。
さて、このキャビンカメラは何を見ているのでしょうか。過去のアップデートでドライバーの目線を追うようになりました。例えば、高速道路でオートパイロット(以後、AP)をオンにして走行中、スクリーンのマップ画面を操作していると、警告音と共に「道路から目を離さないでください」と表示されます。それほど、長時間にわたり目を離したつもりはないのですが、結構厳しく判定されます。
最初は、カメラによる判定ではなく、スクリーン操作を感知してそのような警告を出すのかとも思いましたが、ステアリングに手を添えた状態で、眠たげな眼、あるいは目を閉じた状態であっても、同様の警告が発出します。ドライバーの状態をカメラ画像でしっかりと見ているわけです。
日産のプロパイロットなど他車の運転支援機能は、ステアリングコラム上部に設置された赤外線カメラで、視線や目の状態を検知することが多いようです。Teslaの場合は、通常のカメラ映像から画像解析を行いドライバーの状態を確認しているということでしょう。
実は、この警告にはペナルティが用意されています。前回の本連載において、大阪・関西万博の旅のレポートをお届けしましたが、その往路において、「道路から目を離さないでください」を短時間に連続して出してしまいました。すると、次の画像にあるような警告が発せられ、APが強制解除されました。俗に言う「APのお仕置きモード」です、
お仕置きモードが一度発動すると、以後、次に停車してパーキング状態を経るまでは、APが起動しなくなります。結局、先を急いでいた事もあり、新東名高速道路の沼津付近から伊勢湾岸自動車道の湾岸長島パーキングエリア(PA)までAPなしの完全手動運転を行う羽目になりました。まあ、自業自得なわけですが......。
ペナルティは、それだけではありません。さらに、重いペナルティが用意されています。このようなAPの強制解除の累積が7日以内に5回に達するとAP使用の1週間停止という「刑罰」が待っています。多くのTeslaユーザーがそうだと思うのですが、高速道路走行においてはAPによる運転支援をあたりまえのように利用しているだけに、このような使用停止措置はつらいものがあります。
実際、前述のように沼津付近から湾岸長島PAまで、手動で運転した際には、それなりにストレスを覚えました。おまけに、この日は強めの雨が降っていただけに、悪天候による精神的な負荷もあり、かなりの大雨の中でも正常に動作するAPのありがたみを余計に思い知らされることとなりました。APが優秀だからといって過信しないように気をつけます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR