北海道大学は7月3日、札幌キャンパスで見つかった“毒性の疑いのある植物”を刈り取ったと発表した。この植物は、外来種で強い毒性を持つ植物「ジャイアント・ホグウィード」(和名:バイカルハナウド)に似ており、外部からの指摘を受けて存在が判明したもの。しかし、現時点ではこの植物の正体を特定する作業は難航しているという。
外部からの指摘があったのは6月24日。その後25日には、環境省や北海道、札幌市の担当者とも協議し、花及び葉の切除と、同定(対象物の正体を特定する行為)、光毒性試験のためのサンプル収集を実施。生育していた場所は、学外の人も容易に立ち入れることや、近隣に保育園があること、生態系に悪影響を及ぼす侵略的外来種の疑いもあったため、地際から全て刈り取ったという。
その後、北大の専門家が論文などの情報から、植物の同定を試みた。しかし、参照できる標本がないことや、海外でも類似種と混同する例が見られることなどから、ジャイアント・ホグウィードと同定することはできなかった。一方、在来種の「オオハナウド」とは明らかに異なる特徴を持っているという。
なおジャイアント・ホグウィードは、海外の類似種の一部からも、危険性について報告が上がっている。そのため今回見つけた植物にも皮膚炎を起こす成分が含まれている可能性がある。これらの理由から、同定作業は困難を極めている。
7月1〜2日には、専門業者が札幌キャンパス全域の調査。また北大内の関連教員の確認と情報も加味した結果、札幌キャンパス内では、今回発見した場所以外に対象種の生育は確認できないと結論付けた。なお、土壌に種子が残っている可能性も配慮し、該当エリアは引き続き立ち入り禁止に。環境調査を続け、開花前に地上部を刈り取るなど根絶を目指す。
この植物は6月下旬ごろ、X上で「外来種のジャイアント・ホグウィードらしい植物を見つけた」という投稿が話題になったことをきっかけに、存在が発覚した。ジャイアント・ホグウィードは有毒植物として知られ、主に海外に生育。その樹液を浴びた状態で太陽光や紫外線を受けると、皮膚が赤く腫れ、痒みを引き起こすなど、炎症症状を引き起こす。炎症が引いた後も、数年間に渡って傷跡が残る場合もある。
なお北海道では、北大以外でも、ジャイアントホグウィードらしい植物の目撃情報が上がっている。札幌市の広報局は7月2日、白石区東札幌1条6丁目「白石こころーど」付近でそれらしき植物を発見し、除去したとXで報告している。
ナナフシで“まれに生まれるオス”は、メスと交尾しても遺伝子を残せないと判明 基礎生物学研などが調査
植物の根に“電気刺激”、通常より50%速いペースで成長 「電子土壌」をスウェーデンの研究者らが開発
新種のティラノサウルス「カンクウルウ」、北大などの研究チームが発見 起源と進化に新たな仮説
教科書を書き換えか? 新たな化学結合「一電子結合」発見 北大と東大が“1世紀前の理論”を実証
タマネギを泣かずに切るコツ、物理学者が発表 ポイントは“ナイフの切れ味”と“切る速度”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR