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新型iPhone、4機種を先行レビュー ボディ、発熱、バッテリーなど試して分かった“共通の設計思想“とは(2/4 ページ)

» 2025年09月17日 21時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

ボディ設計は発熱低減に大きな効果

 では、これらの構造がどう影響しているのか? 実際に目で見て確認してみよう。

 以下は、非常に動作の重い大規模なゲームを動かした後で、温度分布を画像として撮影できる「FLIR One Gen3」を使って撮影した画像だ。白に近いところほど熱い。

発熱状況を確認。左から、iPhone 17/iPhone Air/iPhone 17 Pro/iPhone 17 Pro Max、比較用のiPhone 16 Pro Max

 まず、昨年モデルであるiPhone 16 Pro Maxに比べ、全モデルで発熱が抑えられている。スタンダードな設計のiPhone 17は傾向が似ているが、それでも熱量は少し低い。

 中でもiPhone 17 Proシリーズの2機種は、熱が全体にうまく広がり、手の部分にだけ集中していないのがわかる。

 iPhone Airも、プラトーの部分に熱が集中している。発熱が小さいのは、全体の熱が抑えられていること以上に、これ以上熱が広がらないよう、いわゆるサーマルスロットリングが起きている可能性もある。

曲げても「戻る」iPhone Air

 では、構造的な強度はどうか?

 薄型なので、iPhone Airは「脆そうだ」「曲がるんじゃないか」と思われている部分がある。

 そこで、本体を両手で持ち、全力で曲げてみた。

グッと力をかけると曲がるのだが......

 すると、一瞬曲がったように見えた。だが、手を離すとすぐに元に戻る。もちろん壊れることなく動作している。

手を離せば元通りになる

 いうまでもなく、こういうことは推奨しない。100%故障しないという保証はないからだ。だが、Appleは自社内の「堅牢性ラボ」でテストし、60kg以上の力をかけて曲げても全く問題ないことを確認している。筆者も取材中、その実験を目の前で見ている。特にトレーニングしたわけでもない成人男性が両手で力をかけた場合、20kgから30kg程度の負荷だそうだ。だから、まあ問題はないわけだ。ズボンのポケットに入れて座った場合でも、上記の値を超える例は少ないという。

 この堅牢性は、iPhone Airがチタン合金のフレームを採用しているからだろう。一般論として、チタン合金は「靱性」に優れる。靱性とは「壊れずに元の形に戻ろうとする力」のこと。まさに、両手で力をかけたあと、元に戻った挙動そのものだ。

 それに対してアルミ合金は「曲げ」に弱い。しかし、複雑な構造で厚い箱型のユニボディは、その構造自体が堅牢だ。だから、iPhone 17 Proシリーズも堅牢......とAppleは主張している。

 そして、アルミ合金は熱伝導性に優れる。チタン合金の20倍の熱伝導性があり、内部には熱を素早く誘導する「ベイパーチェンジャー」もある。この結果、フルパワーをかけて放熱しても全体に熱を拡散し、性能を維持しつつ不快感を抑えられる。

 だから、iPhone 17 Proシリーズは「性能を維持しやすい」わけだ。

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