放送倫理・番組向上機構(BPO)は10月21日、日本テレビのバラエティー番組「月曜から夜ふかし」で3月24日に放送した街頭インタビューに放送倫理違反があったと公表した。恣意的な編集によって事実と異なる内容を放送し、取材を受けた人がSNS上で誹謗(ひぼう)中傷にさらされる事態を招いたとしている。
問題のインタビューは、中国出身の人の声を紹介したもの。放送後に取材対象者から「実際に話した内容とは違う」と指摘を受け、日本テレビは制作スタッフの意図的な編集で発言の趣旨と異なる内容になっていたことを認め、番組のWebサイトなどで謝罪した。
BPOの放送倫理検証委員会は4月、番組の制作プロセスを検証する必要があるとして審議入り。関係者へのヒアリングを行い、街頭インタビューを担当したディレクターが「オチが付いて面白い内容になる」と考えて取材対象者が別の文脈で発言した言葉をつぎはぎにする音声編集を行っていたことが分かった。
また、制作幹部が編集に気づかなかった点については、放送内容の正確性を担保し、制作過程に不正がないかどうか疑念を持つ意識が希薄だったと指摘。取材対象者に放送内容を確認する場が放送を許諾するよう仕向ける場となっているなど、不正抑止のための仕組みが機能不全を起こしていたという。
検証委員会は「笑いやオチを優先させるなかで、不正リスクの軽視につながった組織風土が醸成されたことに問題があった」と認定。また偏見とまではいかないものの、制作側に他国の人々の感情を尊重する姿勢が不十分だったとも指摘している。
これを受け、日本テレビは「BPOから通知された『月曜から夜ふかし』に関する意見を真摯に受け止めております。ご指摘をふまえて再発防止に向けた体制の強化や社員・スタッフの研修に取り組み、今後の番組制作にいかしてまいります」というコメントを番組ページに掲載した。
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