まず、制作に当たってどんなサービスを使ったかと、その選定理由もまとめておく。印刷データの制作にはデザインツール「Affinity」シリーズ(当時はまだ無償提供していなかった)や、フォントサブスクリプションサービス「Adobe Fonts」(別途契約していたLightroom単体プランに付属)、イラスト制作ツールの「CLIP STUDIO PAINT」を使った。
中国ByteDanceの動画制作ツール「CapCut」でプロモーション映像も制作した。どれも筆者が使い慣れていたことから制作でも採用した。
頒布にBOOTHを選んだのは手数料の安さもあるが、最大の理由はユーザーの親和性だ。筆者は性癖俳句について、メインターゲットはボードゲームになじみのある男性と考えつつ、サブターゲットとして「TRPG」というゲームのプレイヤーや、一次創作を趣味としている人、あるいはいわゆる“腐女子”(BLファン)にも響くだろうと考えており、なおかつそういった人たちはBOOTHをよく利用している印象を持っていた。
TRPGとは、テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲームの略で、ルールや設定を書いたルールブックに従い、プレイヤー同士が会話をしながら物語中のキャラクターを演じ、シナリオを進めていくアナログゲームのこと。日本では架空の神話「クトゥルフ神話」をテーマにした「Call of Cthulhu」というゲームが人気だ。「クトゥルフ」「CoC」という略称を聞いたことがある人も多いだろう。
CoCを含むTRPGにおいて、シナリオはルールブック記載のものを採用することもあるが、プレイヤーが独自に作ったものを使うことも多い。そして日本の、特にオンラインでTPRGを遊ぶコミュニティーにおいて、プレイヤーメイドのシナリオはほとんどが同人誌即売会かBOOTHで出回っている。
同時に、TRPGプレイヤーはいわゆる“腐女子”や一次創作を趣味としている人を多く含有している。自分たちで作ったキャラクターの活躍を演出したり、それら同士の関係性などを物語として描いたりしやすいためだ。同じアナログゲームとあって、ボードゲームとの親和性も高い。
ただ、下ネタ全開のゲームとあって女性には受け入れられないリスクもあった。一方、“うんこちんちん”から“セックス”まで下品さに程度の差はあれ「バキ童チャンネル」「オモコロチャンネル」など、下ネタも少なくないYouTubeチャンネルに女性ファンが多いことを踏まえ、パッケージや説明書などできちんと事前に説明を尽くせば受け入れられてもらえると判断した。
こういった背景もあって、BOOTHならばターゲットに違和感なく受け入れてもらえるだろうと踏んだわけだ。当初からR-18のコンテンツとして提供する予定だったので、18歳未満への警告機能があったのも大きい。入荷待ちをしている人の数を把握できる機能があるのも好印象だった。
結果としてこの見立ては大体当たっていたとみている。詳しくは後述するが、XではボードゲーマーやTRPGプレイヤーの反響が大きかった。ただ、女性とみられるSNSアカウントを中心に「もうちょっとカジュアルな性癖を扱うゲームかと思った」「ハードすぎる」という意見も散見されたので「下ネタの許容度」で言えばやや読み違えたかもしれない。
なお、売り先の候補には他にもDLsiteがあったが、手数料がBOOTHに比べると少し高いことと、発売時点では窓口を一本化したかったこともあって発表当初は見送った。ただ、ユーザー層が一致しているとは思っていたので、11月半ばからDLsiteでも販売を開始した。年末のコミケにも出席する予定だ。
ちなみにココフォリアも基本的にはTRPG用のプラットフォームなので、同じ期待から同サービス向けのデータを制作・頒布するに至った。筆者は開発者ではなく、イチからゲームを開発するのは厳しかったこと、ココフォリアはスマートフォンやタブレット端末からも利用できるので、PCを持っていない人でも遊んでもらえる可能性がある点も良かった。
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