2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
米ハーバード大学や米マサチューセッツ総合病院などに所属する研究者らが医学誌JAMAで発表した「Coffee and Tea Intake, Dementia Risk, and Cognitive Function」は、1日2〜3杯のカフェイン入りコーヒー、あるいは1〜2杯の紅茶を飲む習慣が、認知症の発症リスクを低下させる可能性があるとする研究報告だ。
この研究は、13万1821人の男女を最大43年間にわたって追跡した大規模なデータ(Nurses’ Health StudyとHealth Professionals Follow-up Study)に基づいている。
追跡期間中に1万1033人が認知症を発症したが、カフェイン入りコーヒーの消費量が最も多いグループは、ほとんど飲まない、あるいは全く飲まないグループと比較して、認知症のリスクが18%低いことが明らかになった。また、主観的な認知機能低下の割合も低く、客観的な認知機能テストにおいてもより良好な結果を示す傾向を確認した。
カフェインレス(デカフェ)のコーヒーではこうした認知機能の低下を抑える効果が認められなかった。一方、カフェインを含む紅茶の摂取でもコーヒーと同様の良好な結果が得られた。これにより、コーヒーや紅茶に含まれるポリフェノールなどの成分に加えて、カフェインそのものが神経保護作用をもたらす重要な因子となっている可能性が示唆されているが、さらなる研究が必要だと述べている。
認知機能の保護に最も効果的であった摂取量は、カフェイン入りコーヒーで1日2〜3杯、紅茶で1日1〜2杯であった。また、認知症を発症しやすい遺伝的リスクを持つ人であっても、そうでない人であっても、カフェイン摂取によるメリットは等しく得られる可能性が示唆された。
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