――川上さんが出資し、ひろゆきさんも参加されている新サービス「POPOPO」は「AI時代を前に人間が作る最後のSNS」をうたっていますね。開発にはDevinをはじめとしたAIをフル活用していると、CTOのMIRO(岩城進之介)さんがおっしゃっていました。
川上氏:ええ、AIで作ってますよ。ただ、カメラワークやアバターの見た目には、人間がすごく介在してるんです(カメラワークは手塚眞さんが、アバターは庵野秀明さんが監修した)。カメラワークを気持ちよくするのに、本当に時間をかけました。
――「気持ちいい」っていう感覚は人間っぽいというか、今のところAIが再現できないということでしょうか。
川上氏: いや、そのうちできると思いますけどね。ただ重要なのは、人間がやったことがないことは、AIが学習できない。そういう意味でPOPOPOは、今の世界のIT業界の本流からはだいぶ外れた、(手作業の多い)作り方をしてるんです。
エンジニアがカメラワークを作ろうとすると普通、オートカメラなんですよ。人間が作ったカット割りを並べるとか、そんな面倒くさい、if文の塊みたいなことはやらないんですよ。
ひろゆき氏:カメラワークは、AIが学ぶのも結構難しいモデルな気がしていて。AIは、文字によって正解が書いてあれば容易に学ぶんですけど、「人間が気持ちいいと感じるカット割り」と「気持ち悪いと感じるカット割り」は情報量が多すぎて、教師あり学習ができないから。
人間を連れてきてA/Bテストをすれば教師あり学習できるかもしれませんが、ネット上で拾ってきたものを自動で学習させようとすると、そもそも教師がいないので教師あり学習ができないし、普通、そこまで頑張らないと思うんですよね、パクる人は。
川上氏:映画とかドラマで使われてるカット割りを学習してそれを再現するみたいな感じなら、できることはできると思うけれど……どうなんだろうねえ。
AIにできないこと、苦手なことは、アルゴリズムなんです。アルゴリズムの学習が非常に難しい。例えばAIは足し算を勘でやってるんですよね。最近のAIは外部計算機を使ってるんで正しい計算ができますが、初期のLLMは長い計算を勘でやるんで間違える。
だから、何かを生成するエンジンみたいなものって、外部の学習だけでやるのは難しくて。POPOPOのカメラは外部からの学習が難しい、複雑なエンジンになっています。
――人間がチューニングを繰り返して作ったエンジンだから、外から見るだけでは分からないし、コピーもしづらいと。
川上氏:はい。基本的にLLMは、アルゴリズムの実行はできないんで。
ひろゆき氏: 例えば、コムデギャルソンの服の写真データをAIに大量に食わせたとして、パターン(型紙)は書けないと思うんですよね。立体縫製で仕上げるためにパターンを作り、この順番で、ここに力をかけながら縫って……とかは、AIには分からないと思うんです。服の写真の情報にはそういうアルゴリズム、作り方の情報が入ってないので。
――アウトプットだけを見ても、作り方の根本の部分が分からないっていうことですね。だから例えば、POPOPOのサービスが他社や海外にパクられたとしても、カメラワークの再現などはできない、と。
川上氏:(一般的な開発の)思考パターンとしては、なんとなくアバターを並べて動かしちゃう、っていうことをするでしょうね。僕らと同じ(人間のプロを使って細かくチューニングした)やり方ではできないし、やってこないと思っています。カット割りにこだわりはないだろうし。
「ニコニコ動画」のコメント機能をパクったサービスもそうだったじゃないですか。コメントを流すという仕様は一緒なんだけど、使ってみると、何かが違う、みたいな。
――POPOPOのカメラワークのように、人間のプロを介在させれば、AI時代でも新しいものはまだまだ作れるということでしょうか? それともPOPOPOが最後になる?
川上氏:それは分からないですが、(新しいものを作るのは)どんどん難しくなってきますよね。
――ひろゆきさんは、AI時代のWeb開発の難易度をどのようにとらえられていますか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR