ひろゆき氏: AIでコピーされまくるということは、逆に自分もコピーできるわけだから、開発自体の難易度は下がります。簡単に作れるようになりましたよね。
なので逆に、面白いアイデアを実装したサービスがあっても、ブランドがある人にすぐパクられる。ブランドを持ってる人もしくは大企業以外がサービスをやるのが、すごく難しい時代になると思います。
――無名の個人によるサービスは、死に絶える可能性があると。
ひろゆき氏: ほぼ死ぬんじゃないですかね。個人開発で面白いもの作ったとしても、全く同じようなものを、例えば川上さんの名前とお金を使ってバーンって出したら、勝てるわけないじゃないですか。
川上氏:まあまあ、実際は僕じゃなくて、もっと大きなプレイヤーだと思うけどね。
ひろゆき氏: 例えばスマホゲームで個人が面白いものを作っても、似たようなものを中華系企業が出してきて、大量に広告を投入し、中華系が持っていくというのは既に起きていて。あれと同じものが他の分野にもどんどん広がってくると思います。
――強きものはどんどん強くなり、小さいものは勝てないとなると、寂しいですね……。
ニコニコ動画やTwitter(現在のX)のようなサービスが出てきた20年前は逆で、マスメディアや大手企業に個人がネットから逆転できる、という時代でした。AI時代はそれがまた逆回転するんでしょうか。
ひろゆき氏: なので逆に、人間が作るものは多分、狂気になってくると思うんですよね。
――狂気?
ひろゆき氏:狂気。儲からなくて狂った、頭がおかしいサービス。「ビジネスモデルも成立しないから、こんなものやってもしょうがないよね」というところに人が集まっていき、そこで有象無象が本当に面白くないことをやる。
面白いコンテンツは映画とかでビジネス化しちゃうけれど、ビジネス化のしようがないものに人は期待をしてしまうから。「バーニングマン」みたいな感じで。
バーニングマンは、米国のネバダ州の砂漠で毎年6万人が集まってやっているイベントで、「お金を使っちゃいけないし、物々交換もダメ。何かをする必要もないけれど、皆さん勝手に楽しんでください」っていう。合理性やビジネスも何もないんだけれど、そういうのに人は、興味を持ってしまうんですよね。
AI時代、新サービスが簡単にコピーされ、大資本に飲み込まれる状況は、Web開発を手掛ける個人や中小企業にとって絶望的にも見える。だが、ひろゆき氏の言う「狂気」に記者は希望を感じた。
20〜30年前のWeb黎明期を振り返ると、自腹でサーバを用意して無料サービスを公開したり、テキストサイトを更新したりする個人がたくさんいた。彼らは収益を求めず、ただ自分が楽しんだり、見知らぬ人を楽しませたりしていた。
身銭を切ってWebに貢献する人たちは、「何のためにそんなことやるの?」といぶかしがられることもあり、ある種の「狂気」にも見えただろう。
AI時代のWeb開発は、「お金にならないけど楽しい」……Web黎明期のような雰囲気に戻るのかもしれない。そこから全く新しいビジネスが誕生する可能性も、あるのではないか。
かつて「ネットはもうからない」と言われ続けてきた。それを変革した立役者の一つが、川上氏とひろゆき氏が立ち上げた「ニコニコ動画」だ。あれから約20年。Webビジネスは今や、巨大市場に変貌した。
既存のもうけ方が通用しなくなるAI時代は、その先の新ビジネスにつながる、新たな黎明期なのかもしれない。
ネットの経験は「きれいさっぱり忘れる」──LINEヤフー会長を退き“AIと起業”に挑む、川邊氏の起業論
連続起業家・けんすう氏に聞く、生成AI時代のIT起業論 後追いされない事業を創るには
「30秒1万円」の動画翻訳が大手に刺さった理由──7度目の起業で見つけた、AI時代の勝ち筋Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR