まず直近の影響は2つある。1つは未回収の「売上金」の存在で、2つめは全東信に代わるカード決済代行業者の選定だ。
前述の通り、クレジットカードを通して決済された「売上金」はカード利用者からカード発行会社(イシュア)とアクワイアラ(とPSP)を通じて最終的に加盟店に売上金として支払われる。その過程で手数料が引かれていくが、最終的に“売上”からアクワイアラ(またはPSP)から提示される“決済手数料”を引いた金額が加盟店の銀行口座へと支払われる。
今回、本来はPSPである全東信から支払われるべき売上が途中でストップしてしまっているため、未回収の売上金である「プール資金」が宙に浮いた状態になっている。加盟店は“債権者”としてこのプール資金に手を付ける権利があるが、たいていの場合は全額回収は難しいうえ、「すぐに必要な資金を回収できない」という最大の問題が控えている。
日本国内には数多の飲食店があるが、全東信が対応していたような店舗のほとんどは中小規模のものだ。つまり体力がほとんどなく、ちょっとしたきっかけでのキャッシュフロー不足が資金ショートにつながりかねない。
理由としてはいくつかあり、つねに仕入れのために資金を必要としていることと、人手が必要なサービス業であり従業員への支払いが一定タイミングで発生して一気に資金が動くといった部分だ(もちろん家賃や光熱費負担も大きい)。
先ほど「月6回払い」などの「早期支払いサービス」を全東信が提供していて好評を博していることに触れたが、それだけ入金サイクルを短くすることがメリットにつながる業態であることを表しており、これが大規模な連鎖倒産を誘発する危険性を秘めていることにもつながっている。おそらくは、今後半月から1カ月以内に資金ショートに関するかなり深刻な話題がいくつか出てくるはずだ。
問題の2つ目は代替手段だ。当面は現金決済に切り替えるにしても、将来的には全東信の代わりとなるカード決済代行業者を選定する必要があるだろう。なぜなら、飲食店の営業時間帯が夜に傾くほど酒類提供などで顧客単価が上昇する傾向があり、結果としてカード決済需要が高まるからだ。
全東信は入金サイクルの短期化だけでなく、加盟店審査が“比較的緩い”というメリットがあり、これで多くの加盟店を獲得していた。ただ前述のように全東信の加盟店の多くは水商売に近い業態であり、可能性の話だがAirペイや米SquareといったPSPでは審査が通らないかもしれない。
だが近年、全東信の代替になるといわれ加盟店を増やしているのがUSENだ。なぜUSENなのかといえば、もともと同社はそうした店舗に有線放送による音楽配信やWi-Fiサービスなどを提供しており、そのつながりで「決済もできるUSEN」という形で営業を行っている点が大きい。
一方で、前述の風営法1号に該当する店舗は加盟店審査でも問題なく通過できることが多いが、全東信がグレーゾーンとして扱っていた問題店や性風俗店などは性質上USENは通さないため、代替にはならない。他の国内の主要PSPが受け入れるとも考えられず、不利を承知に“代替となる事業者”を探し出すことになるだろう。
なぜ? 日本のキャッシュレス決済手数料が高い理由
クレカの表現規制、真犯人は誰か 見えてきた“構造的原因”を解説する
BPSPとは何か? 企業の請求書をカード払い 広がる法人キャッシュレス
2022年、キャッシュレス決済利用額が初の100兆円超 経産省が発表 利用率も過去最高36%に
USEN、電子決済の中国Lakalaと業務提携 訪日外国人向けにQRコード決済を提供Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR