AI広告は受け入れられるのか? 最新調査から見えてきた近未来像:小寺信良のIT大作戦(2/4 ページ)
生成AIを使って制作した広告は、それがAIであることで何かしら影響を与えるのだろうか。ビデオリサーチ内のシンクタンクが行った調査結果から、生成AIが作り出す画像と、それを見た人間の反応や行動がどのように変わるのかを掘り下げてみたい。
AI広告を見てそれがAIだと当てた人は6割弱から7割となっており、ある程度はAI画像を見分けられているように見える。しかし実写広告を見たのに、それをAIだと誤認した人も5割弱から7割という結果となった。 ただこれは、AI画像なのかもしれないという情報が与えられたことで認知にバイアスがかかり、実写であってもAIっぽく見えるようになったという可能性を否定できない。
では、AI画像を正しく見分けられた人は、どのような要素を基準に判断したのだろうか。まずファストフードやミネラルウォーターのように「人物」や「商品」がメインとなる広告では、
- 人物の肌や質感
- 表情や目の不自然さ
- 背景の構造
- 背景の色味・質感
といった要素を基準に判断していた。一方旅行のように背景を含む全体のイメージがメインとなる広告では、
- 背景の構造
- 背景の色味や質感
- 画像全体の色味
を基準に判断していた。これは広告として注視すべきポイントにきちんとフォーカスしているという意味でもある。
ただどちらのパターンでも見逃せないのが、「なんとなくおかしい」という、理由のない直感的な判断がおよそ4割で最多であったところである。つまり「AIなのかも」という判断基準は、画像内の矛盾点を探し出した結果ではなく、「違和感頼み」ということになる。
問題は、AIかもしれないという疑問を与えなければ、この果たして違和感は発動したのか、という点だ。おそらく何の説明もせずにAI広告を見せたら、AIだと見破った人は少なかったはずである。正直筆者にも、このサンプルでAI画像を見破れる自信はない。
現に我々が今現在見ている広告には、「AIで生成しました」のようなクレジットはほとんど入っていない。そもそも何のバイアスもなければ、AIかどうかを見分けようともしなかったはずだ。
バイアスをかければ、実写広告を見た人でもAI画像かもしれないと疑うわけだから、AIであるかどうかの判断には、現時点では認知バイアスが非常に大きなトリガーになっていると考えられる。調査では「生活者は実写広告とAI画像広告の見分けが必ずしもついていない」としているが、それはバイアスの有無次第であり、その点でこの調査の結論には論理の飛躍がある。もしかしてAIに分析させましたかね?
むしろほとんどの生活者は、AIかどうかを見分けようとしていないのではないだろうか。他人からこれAIじゃないの、と言われて、ああそうかも、と思う程度であろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

