いよいよ最終秒読み!Windows Vistaβ2公開される:WinHEC 2006

» 2006年05月24日 15時07分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]
オープニングキーノートを飾る米Microsoft会長兼チーフソフトウェアアーキテクト(CSA)のビル・ゲイツ氏。「コンピュータの世界はさまざまなデバイスへと広がり、よりユーザーセントリックなものとなりつつある」と語り、先日公開された「UMPC」(開発コード名:Origami)や「タブレットPC」などのデバイスに対する同社の意気込みを見せる

 米Microsoftは5月23日(現地時間)、2006年末から2007年後半にリリースが予定されている3つの主力製品の次期バージョン「Windows Vista」「2007 Office」「Windows Server(“Longhorn” Server)」のβ2版をそれぞれ公開した。これは現在、Microsoftの本拠地である米ワシントン州シアトルで開催されている同社のハードウェア技術者向けカンファレンス「Windows Hardware Engineering Conference 2006」(WinHEC 2006)において、同社会長兼チーフソフトウェアアーキテクト(CSA)のビル・ゲイツ氏のオープニングキーノートで発表されたもの。WinHECは同日より25日まで3日間の会期で開催され、最新のハードウェア技術に関する情報が順次公開されることになる。

いまMicrosoftが最も力を注ぐ「Windows Virtualization」とは?

 ゲイツ氏はキーノートの中で近年のPC業界をとりまくトレンドについて説明した。1つは、CPUの64ビット対応とマルチコア化が急速に進む勢いが、サーバなどのハイエンド環境だけでなくクライアント向けの低価格PCなどにも急速に広がりつつあることだ。こうした状況にあって同社が目指すのは、向上したパフォーマンスを生かしてシステムのパフォーマンスや可用性、セキュリティなどを高め、より信頼性の高いシステム作りを行うことだ。

 企業にとっては、より使いやすくコストを削減できるシステムが望まれることになる。ゲイツ氏は現在同社が最も力を注いでいる技術の1つとして「仮想化」(バーチャライゼーション)を挙げ、新技術の「Windows Hypervisor」上でWindowsやその旧バージョン、Linuxなどの異なるOSを単一のシステム上で動かすデモを紹介した。これにより、複数のシステムを1つのPC上にまとめ、より低コストで簡単に管理できるようになる。このWindows Virtualizationは、Windows Server(“Longhorn” Server)の主要な機能の1つだ。Longhorn Serverは2007年前半にβ3が出て、同年後半には製品版がリリースされる予定になっている。

「ユーザー・セントリック」なWindowsの世界

 WinHEC 2006でもっとも大きな話題の1つとなるのが公開されたWindows Vistaβ2だ。β2は報道関係者向けに配布が行われたほか、同じタイミングでMSDNのサブスクリプションを契約している開発者にも提供された。また数週間内に「Customer Preview Program」(CPP)と呼ばれる早期テストプログラムの開始も予定している。こちらはMSDN契約ユーザーでなくても登録者にβ2の無償提供が行われる。より多くのユーザーにβ版を届けることでフィードバックの範囲を拡大することが狙いだ。

 Windows Vistaは今年2006年11月に企業向けのライセンス提供が行われ、2007年1月に一般ユーザー向けの製品提供が開始される予定とアナウンスされているように、いよいよ半年後には正式デビューとなる。それだけに今回配布されるβ2版には新機能などの追加はなく、デモで紹介されたのはWindows VistaやOffice 12の活用例やその周辺をとりまくデバイスの数々だ。例えば、専用のページリーダを活用して新聞をPCディスプレイ上で読むシーンが登場したり、検索候補の内容がビジュアライズされてプレビューできるようになった新しい検索機能、よりリッチなビジュアルをもった資料を作成できるPowerPointの新版などだ。タブレットや電話端末といった新型デバイスからPCへアクセスする事例も紹介されるように、ゲイツ氏の語る「ユーザー・セントリック」(中心)なコンピュータの使いかたが実現しつつあるのがうかがえた。

 また、「ユーザー」「データ」「アプリケーション」「デバイス」といった要素がネットワークを介してシームレスに接続し合い、互いの垣根を越える「“Live” Era」と呼ばれる世界が実現しつつあるとゲイツ氏は説明する。これは現在同社が進めている、インターネット上にWebアプリケーションインフラを構築する「Windows Live」がベースとなるもので、広告スポンサーやサービス事業者などの事業者やパートナーがビジネスチャンスを拡大する足掛かりとなるという。さらに、同社が先週発表したばかりの途上国向けの従量制PC提供サービス「FlexGo」についても触れ、FlexGoの「従量制+サブスクリプション」という2つの課金システムが、高価なPCを購入するのが難しい途上国のユーザーへの一助になると説明。プリペイド携帯電話の利用率の高さを例に、このシステムをPCに導入することでより多くのユーザーがPCに触れる機会が広がるとも述べている。

 「旧来のPBX(電話交換機)やメインフレームのような特定用途や場所に縛られない。それがユーザー・セントリックの世界」だとゲイツ氏は強調する。Vistaβ2でのデモはそれを象徴するものだろう。「コンシューマPCの世界での今後数年間のMicrosoftの目標は、よりPCの利用シーンやユーザー層を拡大することにある」とうかがわせるゲイツ氏のキーノートスピーチであった。

タッチスクリーンを採用したディスプレイ上で最新のWindows Vistaβ2をデモ。キーボード以外にタッチスクリーン上からクリックやドラッグ&ドラッグができるのでより直感な操作が可能になっている
キーボードが省略されたタブレット型デバイスと専用の新聞リーダーを使って、New York Timesを読む

家の電話機にもPCの機能が。ユニデンやモトローラなど、複数のメーカーからPCと連携できる液晶内蔵電話機の端末が紹介された。電話機からPCをコントロールしてLive Messengerにログインしたり、Messenger上のコンタクトリストや電子メールを参照できる
石油会社のシェブロンは、Windows NT 4.0時代から全社システムにWindowsを展開していた早期ユーザーの1社だ。同社グローバル技術戦略部門ゼネラルマネージャのアラン・ナン氏には、同日公開されたばかりの3つの最新製品のベータ2が手渡され、彼は最初に同製品を手にしたユーザーとなった

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