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» 2020年02月29日 07時00分 公開

牧ノブユキの「ワークアラウンド」:ネットで否定派が目立っても、PCに「Office」がバンドルされ続ける理由 (1/2)

ネットでは「いらない」という声が多いのに、製品を買うと必ず付いてくるものがある。例えば、PCにバンドルされる「Office」もそう言われがちだ。こうしたミスマッチはどのように起こるのか。販売店とメーカー、それぞれの事情をみていこう。

[牧ノブユキ,ITmedia]
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 ユーザーからは「いらない」という声が多数上がっているにもかかわらず、新製品が発売されると必ず付いてくるオプションと言われて、何が思い浮かぶだろうか。

 例えば日本マイクロソフトの2in1 PC「Surface」のコンシューマー向けモデルをはじめ、国内PC市場の店頭向けモデルには、永続ライセンス版の「Office 2019」が大抵バンドルされてくる。

 「Office 365」のサブスクリプション契約などで既にOfficeのライセンスを持っていたり、あるいは価格が上がる要因になるOffice自体が不要だったりするユーザーは少なからず存在するわけで、ネットでは新製品のニュースが流れる度に「またOffice付きか」という声が上がるが、改められる気配はない。

 これに限らず、不要なものが必ず付いてくるという、作る側と買う側のミスマッチはどのように起こるのだろうか。販売店側の事情、そしてメーカー側の事情、それぞれについてみていこう。

実はほとんどの人がOffice付属モデルを求めている

 ネットにおける「Officeバンドルはいらない」という声は大きい。にもかかわらずOfficeがバンドルされる理由は、単純明快、メーカーも販売店も、さらには大多数のユーザーも、それを求めているからだ。

 リアル店舗で買い物をするユーザーの数は、今なおネットで買い物をするユーザーに比べて多数を占めるが、その多くは「全部入り」を求めるユーザーだ。ディスプレイ一体型デスクトップPCが飛ぶように売れた90年代半ばから、この傾向は変わっていない。ほとんどの人にとっては、PCは買ってすぐ使え、かつOfficeも入っているのが最適解なのである。

 また販売店も同様に、そうしたオールインワンの商材を好む。なぜなら、後から「アレが入ってないじゃないか」と客に難癖を付けられる可能性を低減できるからだ。販売店の側もまた、こうした手離れのよい商材に慣れすぎてしまっている。

 もし「Officeなし」という選択肢があれば、販売店としてはそれも店頭に並べざるを得ないが、選択肢そのものが存在しなければ、そうした問題も発生しない。客単価も上がるので一石二鳥だ。指名買いの多い商材であれば、それを理由に他の選択肢に逃げられる可能性も低い。

 また全モデルにOfficeがバンドルされていれば、ラインアップが少なくて済むのも好都合だ。ただでさえ、メモリやストレージの違いで複数のモデルがあるところに、Officeなしモデルが追加になれば、ラインアップが単純に2倍にふくれ上がる。そうなると販売店もメーカーも在庫リスクが増えるし、選び間違いも起こり得る。Officeバンドルで統一しておけば、そうしたリスクも回避できる。

声の大きなネットユーザーの意見はアテにならない?

 「でもネットを見ていると、Officeはいらないという声ばかりじゃないか」とツッコミたくなる人もいるだろう。しかし実のところ、ネットでこうした声を上げているユーザーは、絶対数が多いわけではなく、マーケティングのアテにならないというのが、この業界での一般的な見方だ。

 そもそも、仮にOfficeなしのモデルを用意した場合、ネットで「Officeはいらない」と声を上げているユーザー全員が買いに走るとは限らない。「Officeなしにしては値段が高すぎる」と引き続き文句を言い続けるかもしれないし(実にありそうな話である)、ひょっとするととっくの昔に根負けして、Officeバンドルモデルを購入して使っている可能性もある。

 そうでなくても、Officeがなくなるぶん客単価は確実に下がるわけで、それを跳ね返してまでメーカーや販売店にメリットがあるとするならば、購入者の母数が増えることが絶対条件となる。これまでバンドルモデルを買っていたユーザーが、バンドルなしに流れるであろうマイナス面も考慮すると、プラマイゼロではダメで、大幅なプラスが必要だ。そうしたプラス要素は見渡す限りどこにもない。

 こうした、目に見えるユーザーの声が全体の傾向を表しておらず、また実際の行動を伴っていない(少なくともその確度を見積もれない)例は、他の業界でも少なくない。例えば、何らかのネットサービスがリニューアルした際に必ず現れる「インタフェースが使いづらくなったので、このまま改善されなければ他のサービスへの乗り換えも辞さない」と発言するユーザーがそれだ。

 こうしたユーザーが実際に乗り換えることは九分九厘ないというのは、サービスの提供側にとって常識だ。現実的には、1カ月もたてばこうした声は聞かれなくなるので、のらりくらりと粘ってさえいればいい。

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